最も多くの選手を輩出した
「栄光の5校」とは

 最初にお断りしておきたいのが、日本のプロ野球界には公式戦に出場した全選手の名簿はあるが、在籍した全選手の名簿は存在しないため、ここで集計されているのは筆者が独自に調査したものである。

 また、名門・古豪といわれる歴史の古い学校には、途中で分離や合併などさまざまな変遷のある学校も多く、どの学校をもってどの学校の前身とするかの意見が分かれることもある。そのため、見解によって多少の誤差が生じることをご了解いただきたい。なお、学校名・人名の表記は新字体に統一している。

第5位 龍谷大平安高(京都府) 62人+今年1人指名

 戦前には平安中、昭和には平安高として活躍した同校は、龍谷大平安高と改称してからも2014年選抜では優勝するなど、戦前から現在まで一定の人数をプロに輩出し続けている。今年は中島大輔が楽天から6巡目指名を受けた。古くは衣笠祥雄(広島)、現役では高橋奎二(ヤクルト)らがOB。炭谷銀仁朗は楽天から戦力外通告を受けた。

第4位 広陵高(広島県) 68人+今年3人指名

 第4位は広陵高。同校もやはり戦前からの名門だが、プロ入りに関しては平成以降の方が勢いがある。有原航平(ソフトバンク)など、21世紀以降だけで7人がドラフト1巡目で指名されるなど、中井哲之監督の育成力には定評がある。OBは広島が多く、現役では野村祐輔(広島)、上原健太(日本ハム)などだ。

 今年のドラフトでは上位指名が有力といわれていた真鍋慧が指名されなかったが、それでも高太一(広島2巡目)、石原勇輝(ヤクルト3巡目)、谷口朝陽(西武育成2巡目)と3人が指名を受けるなど、近年猛烈な勢いでプロ入り選手を増やしている。

第3位 横浜高(神奈川県) 74人+今年4人指名

 横浜高は戦後に野球部を創部しており、当然プロ入りしたのもすべて戦後。しかも74人のほとんどは渡辺元智元監督が育てた選手で、渡辺監督はおそらく日本で最も多くのプロ野球選手を育てた監督であろう。愛甲猛(ロッテ他)、松坂大輔(西武他)など、高校野球史に名を残す選手も多い。

 渡辺監督辞任後は監督や部長の交代が続き動向が注目されていたが、その後も甲子園に出場してその地位を守っている。また昨年はドラフト指名がなかったものの、今年はDeNA1巡目の度会隆輝をはじめ、津田啓史(中日2巡目)、杉山遥希(西武3巡目)、土生翔太(中日5巡目)と本指名だけで4人が指名され、さらに上位をうかがっている。

第2位 PL学園高(大阪府) 82人

 第2位は、1980年代から90年代にかけて黄金時代を築いたPL学園高。PL学園高の創立は1955年で、野球部創部はその翌年。最後の年である2016年までの61年間に82人という人数は、一つの代から平均1.3人がプロ入りしているという極めて高い率だ。実際、1980年代頃には一つの学年から数人がプロ入りするのも珍しくなかった。

 しかも、ただ人数が多いだけではなく、清原和博(西武他)・桑田真澄(巨人)をはじめ、木戸克彦(阪神)、小早川毅彦(広島他)、立浪和義(中日)など多くの名選手をプロに供給してきたことで知られる。現役では前田健太が大リーグ・ツインズで活躍中。

 平成期にプロ入り人数トップとなって以来1位を続けていたが、昨年ついにトップから陥落した。というのも、2013年秋に専任監督が不在となり、2016年夏の府大会出場を最後に休部してしまったからだ。プロ入りしたのも、2018年のドラフトで東洋大の中川圭太選手がオリックスに指名されたのが最後で、来年以降のドラフト候補にも同校のOBは見当たらない。

 野球部復活の動きもあるようだが、3位横浜高、4位広陵高の猛追もあり、2位の座も危うそうだ。