DHAやEPAを摂れば集中力が上がる、頭が良くなる気がする――そんな期待を持ってサプリメントを選んでいる人は多い。しかし、栄養素の力には、超えられない一線があるという。

【医師が教える】「DHAで頭がよくなる」と信じている人が注意すべきことPhoto: Adobe Stock

不足を防ぐことと、能力を高めることは別の話

ビタミンB1が基準量どおりに摂取できていれば、
脳の機能は正常な状態を保つことができ、いわゆる「頭が悪くなる」ことは防げる。
これは栄養学的に理解しやすい話だ。

では、ビタミンB1を基準量よりも多く摂取すれば、頭がよくなるのだろうか。
この問いに対する答えは、残念ながら「ノー」とされている。
不足を補って正常な状態に戻すことと、
もとから備わっている機能をさらに引き上げることは、まったく別の話だからだ。

栄養素やサプリメントには「上限の壁」がある

ビタミンB1の基準量をきちんと摂取していれば、脳の機能は正常レベルを維持でき、「頭は悪く」なりません。
ではビタミンB1をたくさん摂取すると「頭がよくなる」か、というと、それはまあ無理でしょう。
それとこれとは話が別で、いくらビタミンB1の力をもってしても、脳の機能を向上させることはできません。
これは、ビタミンB1に限らず、すべての栄養素やサプリメントに言えることです。
その物質が不足すると確かに体の機能は低下するでしょう。しかし、その物質をたくさん摂取するといつも以上の機能が発揮できるかと問われると、残念ながら答えは「ノー」です。
サプリメントなどで不足している栄養素を補うと「頭が悪くなる」ことを防ぐことはできるかもしれません。
しかし、どんなサプリも、それがたとえDHAやEPAであっても、地頭以上に頭をよくすることはできないと思ってください。

この考え方は、ビタミンB1だけに限った話ではなく、
すべての栄養素やサプリメントに共通する原則だという。
ある物質が不足すれば、体の機能が低下するのは確かだ。
しかし、その物質を必要以上に多く摂取したからといって、
通常以上の機能が発揮されるようになるわけではない。

記憶力や集中力をサポートするとされるDHAやEPAについても、同じことが当てはまる。
これらの成分を摂取することで、不足による機能低下を防ぐことは期待できるかもしれない。
しかし、もともと備わっている「地頭」を超えるレベルまで、
脳の機能を引き上げることはできないと考えるのが妥当だという。

サプリメントへの期待値を、現実的に見直す

「これを飲めば頭が良くなる」「集中力が格段に上がる」といった広告の言葉に、
つい期待を寄せてしまうのは自然なことだ。
しかし栄養学的な観点から見ると、サプリメントの役割は、
不足している成分を補い、正常な機能を維持することにある。

すでに必要量を摂取できている状態で、さらに上乗せして摂取しても、
それ以上の効果が得られるわけではない。
サプリメントを選ぶ際は、「不足を防ぐためのもの」として位置づけ、
過度な期待を抱かずに活用することが、現実的な向き合い方と言えるだろう。
栄養バランスや摂取量について不安がある場合は、
自己判断ではなく、医師や栄養士に相談することをお勧めしたい。

今日から試すなら、サプリメントは「不足を防ぐもの」と捉え、期待値を一度見直してみることだけでいい。

(本記事は、書籍『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事』をもとに作成しました。本記事は、医師による診断や治療の代わりとなるものではありません。健康状態に不安がある場合は、必ず専門の医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。)