お金を寄付するだけが貢献ではない。
プロボノという生き方
ルーム・トゥ・リードのボランティアには、実に多彩な人材があふれている。東京チャプターにおいても、マーケティングやPRのビジネス経験がある人は、イベントを開催したり、広報活動をサポートしている。IT系の人は、ホームページの立ち上げや運営、ソーシャルメディアでの情報発信などを担当。翻訳が得意な人は、支援者への報告書を中心に翻訳業務にたずさわっている。
仕事で身につけた知識やスキルを提供する彼らのようなボランティアは「プロボノ」と呼ばれ、これからの時代の新しい働き方・生き方として注目されている。
また、プロボノ企業の存在も心強い。日本事務局のオフィススペース、契約や申請などの法務関連業務、人事・給与などのペイロールサービス、職員が出張する際の宿泊施設の無償提供など、その支援方法もさまざまだ。
ボランティアたちはみんな本職を持っていたり、子育ての真っ最中だったりするから、活動を継続している人もいれば小休止をとる人もいる。人生のライフステージに応じてかかわり方はそれぞれ違っても、かかわり「つづける」ボランティアの存在がルーム・トゥ・リードの成長を支えている。
2007年に発足した東京チャプターは、当初の予想をみごとに裏切り、資金集めの実績で世界に60近くあるチャプターのトップ5になった。2010年1月には東京事務所を開設(同年8月、特定非営利活動法人「ルーム・トゥ・リード・ジャパン」として認可された)。事務所があり職員がいる資金調達のオフィスは、世界でも7カ所しかない。
「僕はひとつの組織のリーダーではなく、ひとつの世界規模の運動を率いる多くのリーダーのひとりでありたい」――ウッド氏はそう語る。楽しくてやりがいがあり、子どもたちのためになって、世界を変えるムーブメントは、日本でも着実に広がっている。
【新刊のご紹介】
あのロングセラーに待望の続編が登場!
ジョン・ウッド著『僕の「天職」は7000人のキャラバンになった』
四六判・上製・328頁ISBN:978-4-478-02289-4
ネパールの山奥、たまたま訪れた地元の小学校で“本のない図書館”に衝撃を受けたジョン・ウッドが、マイクロソフトの経営幹部職を辞して2000年に立ち上げたNPO「ルーム・トゥ・リード」。設立から10年以上が経ち、いまや数々の賞を受賞する世界的なNPOとなった。
ジョンの2作目となる本書は、前著『マイクロソフトでは出会えなかった天職』の“その後”を伝える内容。本作の読みどころのひとつは、スターバックスの出店スピードをもしのぐ勢いで途上国に図書館・図書室を設置する“超成長組織”のリーダーとしての、ジョンの苦悩と試行錯誤だ。世界的に注目される社会起業家とはいえ、ジョンもひとりの人間です。信じた人物に裏切られ、思わぬハプニングに泣かされるなかで、リーダーとしての自分の至らなさにいらだつことも一度や二度ではなかった。それでも、「2015年までに子どもたちに教育機会を届ける」という途方もない目標に向かって突き進むジョンの姿は、私たちにとってもおおいに刺激になる。
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イントロダクション 10年間で1万カ所の図書館
第1章 大胆な目標は大胆な人を引き寄せる
第2章 1キログラムの金塊
第3章 人生の宝くじ
第4章 すべてはバフンダンダから始まった
第5章 チャレンジ・グラント・モデル──自分たちで助け合う手助けをする
第6章 バルマー主義で一流のチームをつくる
第7章 ツナミから1年
第8章 レンジローバーはいらない――経費削減戦争
第9章 ネパールのドクター・スース
第10章 ベイビー・フィッシュ、学校へ行く――現地語出版プログラム
第11章 南アフリカの悪夢
第12章 教育が社会を再建する
第13章 CEOを卒業する
第14章 ゴミ箱のなかの希望
第15章 「この図書館の本を全部読みます」
第16章 小さな肩に家族の夢をのせて
第17章 ミスターX
第18章 カンボジアに向けて──リテラシー・ワン
第19章 恐怖の足音
第20章 世界最長の資金集めメーター
第21章 公約違反
第22章 ボート・トゥ・リード
第23章 「本が読めなければ、学校は拷問だ」
第24章 テクノロジーがつなぐ想い
第25章 ミスター・ポエットとミス・ライブラリー