「なんかやばい」「むかつく」「別に」――子どもが自分の気持ちをうまく言葉にできず、心配になった経験のある親は少なくない。気持ちを言葉で表現する力は、友達との関わりや学校生活だけでなく、大人になってからの人間関係にも大きく影響する。子どもの「伝える力」を育てるために、親はどのように関わればよいのだろうか。本記事では、教育評論家の親野智可等氏に「子どもの気持ちを言葉にする力の育て方」について話を聞いた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・佐藤里咲)

「語彙力が伸びる子ども」の親がやっていること・ベスト1Photo: Adobe Stock

「やばい」で終わらせるこわさ

――自分の気持ちを言葉にするのが苦手な子もいます。気持ちを伝える力は、親がどのように関わっていくと伸びやすいのでしょうか?

親野智可等氏(以下、親野) これはすごく大事なことですよね。
まず親が日頃から豊かな表現を心がけることがとても大切です。

例えば何かに驚いたとき、「わあ、驚いた」「びっくりするね」「仰天だ」「ショックだな」「衝撃的だ」「信じられない」「アンビリーバボーだ」「最高だ」「想定外だ」「感動した」「奇跡的だ」「初めて見たよ」とか、いろいろな表現を親が意識的に使うといいですよ。

ところが、大人も子どもも、つい何でも「やばい」で済ませてしまうことがあります。
でも、「やばい」だけでは、それこそやばいと思うんですよね(笑)。

「やばい」の中には、「ピンチだ」「ああ、もうダメだ」という意味もあります。
だから、そのときの気持ちに合った言葉を使うことが大事なんです。

――たしかに「やばい」は便利で、よく使ってしまいます。

親野 「やばい」と同じくらい「むかつく」も汎用性が広くて、つい使ってしまいがちだと思うのですが、こればかりではやっぱり語彙が貧弱すぎます。

「むかつく」を言い換えれば、「不安だな」「心配だよ」「イライラする」「頭にきちゃう」「腹が立つな」「もうすぐキレそう」「パニックだ」というように、いろいろな表現ができます。

こういう言葉を、子どもは耳から覚えていくんですね。
だから、親が日頃からいろいろな言葉を使ってあげることが大事なんです。

まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』には、「きもちを いろんな ことばで つたえよう」という項目があります。「うれしい」気持ちをどう表現すればいいのか、具体例がまとめられていますよ。

「語彙力が伸びる子ども」の親がやっていること・ベスト1『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』より引用
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・<うれしいとき①> 「ヒーロー みたいに じしんに あふれているんだ」
・<うれしいとき②> 「とりの ように とんでいきそう」
・<うれしいとき③> 「わたあめ みたいに ふわっと とけそう」
・<うれしいとき④> 「いま ぼくは もえあがるような きぶんだよ」

『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』より引用

子どもの気持ちを言語化してあげる

――自分の気持ちを表現できるようになるうえで、ほかに大切なことはありますか?

親野 親が子どもの気持ちを言語化してあげることも大切です。
ただ、まずは子ども自身の言葉を待ってあげてください。

子どもがなかなか言えないと、つい親は先回りして、「悔しかったんだね」「悲しかったんだね」と言いたくなります。でも、まずは少し待ってあげることが大事なんです。

子どもは、そのとき心の中で一生懸命言葉を探している途中かもしれません。
ですから、ある程度待ってあげる。そして、自分の言葉が出てきたら、「そうだったんだね」と共感してあげる。

それでも言葉が出てこない場合は、「悔しかったのかな」というふうに言葉を添えてあげてもいいと思います。

ただ、その場合も押しつけにならないように、子どもの気持ちを十分にくみ取ってあげることが大切です。
私は質問形式にすることをおすすめしています。

例えば、「そのおもちゃで遊びたかったの?」「それとも押されたのが嫌だったの?」というように、選択肢を示しながら聞いてみるんです。
そうすると、「おもちゃで遊びたかった」というふうに答えるかもしれません。

いきなり自分の気持ちを言葉にするのは難しくても、選択肢があると答えやすい子は多いんですね。

だから、まずは言葉にしやすい枠組みを用意してあげたり、選択肢を示してあげたりする。
そうやってスモールステップで、自分の気持ちを言葉にする練習をしていくことが重要です。

(本記事は『まいにちがたのしくなるおやくそく できるかな?』の発売を記念したオリジナル記事です)