「ビールを飲んで社会貢献!」
無理せず楽しくつづけられるしくみをデザインする
東京チャプターの立ち上げから7年。「その間も絶えず紆余曲折と試行錯誤があった」(コールドウェル中島さん)が、たくさんのボランティアの活躍もあって、最近では“日本流”のやり方もできあがりつつあるという。ここで、その取り組み事例をいくつかご紹介しよう。
ビール好きのボランティアが発案し、いまや日本だけにとどまらず世界中の都市で実施されているのが「ビアーズ・フォー・ブックス」。飲食店に協力してもらい、注文したドリンク1杯につき100円(現地語図書1冊分に相当)が寄付されるしくみだ。お店にはたくさんの客が訪れ、飲めば飲むほど社会貢献 ができる。お店にも客にもいいことずくめのコンセプトで、これまでになんと17万冊もの児童書を子どもたちに届けてきた。
お料理自慢のボランティアは、友人を招いてのホームパーティや勉強会形式の食事会を定期的に開いている。会費の余剰金を貯めて図書館を支援する予定だ。
ほかにも、結婚式の代わりに学校や図書室(学校は約310万円、図書室は約45万円など。プログラム価格は為替によって変動)を寄贈する人、あるいは、亡くなったお父さんの名前で図書館(約180万円)を寄贈したいとお香典を寄付する人など、貢献のしかたはさまざまだ。
子どもたちも負けてはいない。親が企画したイベントのお手伝いや、ラッフルチケット(チャリティ福引き)を販売して資金を集めてくれる子もいれば、クラスメイトと一緒に「読書マラソン」に挑戦する子もいる。
読書マラソンとは、一定期間内に子どもが読んだ冊数に応じて親や親戚、近所の大人たち1人ひとりからお金を集めるというもの。子どもたちははじめに大人たちから1冊本を読むといくらと交渉し価格を決めておく(金額は大人によって異なるが、だいたい100~500円ほど)。読書すればするほど途上国の子どもたちのためになるのだから、子どもたちも必死になってがんばるというわけだ。
一方、子どもを持つ外国人や日本人の母親たちを中心としたグループは、アメリカの富裕層が行うような「チャリティガラ」と呼ばれるフォーマルなイベントを年に1度行っている。2012年には日本の有名シェフのみなさんにもボランティアでご協力いただき、1晩で何万人もの子どもたちをサポートできるだけの資金を調達した。「食」をテーマにしたこの日本発のガライベントは評判を呼び、ほかの都市でも同じコンセプトで開催予定だ。