米経済は、大方のエコノミストがあり得ない、あるいは不可能だと考えていたことに近づいている。景気後退(リセッション)やそれ以上に深刻な不況に陥ることなく、インフレ率が新型コロナウイルス禍前の標準に戻る「ソフトランディング(軟着陸)」が視野に入っているのだ。オックスフォード・エコノミクスの米国担当リードエコノミスト、ナンシー・バンデン・ホーテン氏は「今、われわれが期待しているのはソフトランディングだ」と言う。「景気はかなり弱まるだろうが、完全なマイナス成長となる事態は避けられそうだ」ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が6カ月前に実施したエコノミスト調査では、12カ月以内に景気後退入りするとの予想が大勢だった。10月の調査でのエコノミスト予想平均は、景気後退に陥らないというものだった。今月14日以降、その確率はさらに下がっているようだ。少なくとも投資家はそう判断しているもようで、10月の米消費者物価指数(CPI)上昇率が予想を下回ったことが明らかになると、株価は急上昇し、米国債利回りは低下(価格は上昇)した。
米経済、軟着陸に向けた好悪材料とは
インフレ率が予想以上に低下し、景気後退の兆候も見られないが、消費は鈍り始めている
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