今年はインドが絶好調だ。経済は活況を呈し、株式相場は過去最高値に迫り、人口は中国を抜いて世界一に達する勢いだ。インドと米国は今年、ジェット戦闘機エンジンや半導体チップに関する協定に調印した。9月にはニューデリーで20カ国・地域(G20)首脳会議が開催された。インドの好調ぶりを最も顕著に表しているのが、為替相場の安定だ。インドルピーは昨年、対ドルで10%超下落し、世界通貨の中で下落率上位となったが、今年は目覚ましい回復力を見せている。今年の対ドルでの下落率は、ルピーが1%未満にとどまるのに対し、中国人民元は3%超、南アフリカランドは約9%、円は11%となっている。インド準備銀行(中央銀行)の堅実な政策運営は多くの称賛に値する。同行が数十年かけて積み上げた外貨準備は2022年前半には6000億ドル(約88兆8300億円)を超え、中央銀行の外貨準備として世界最大級になった。