2020年に引き続き、新型コロナの影響を大きく受けた2021年。人々の生活様式はさらに変化し、その影響は大企業からスタートアップまでを巻き込んでいる。果たして2022年はどんな年になるのか。

DIAMOND SIGNAL編集部では昨年と同様に、ベンチャーキャピタリストやエンジェル投資家向けにアンケートを実施。彼らの視点で2021年のふり返り、そして2022年の展望と注目の投資先について語ってもらった。第3回はデライト・ベンチャーズ マネージングパートナーの渡辺大氏、W ventures代表パートナーの新和博氏、千葉道場ファンド取締役パートナーの石井貴基氏、ドーガン・ベータ代表取締役パートナーの林龍平氏の回答を紹介する。

デライト・ベンチャーズ マネージングパートナー 渡辺 大

2021年のスタートアップシーン・投資環境について

2021年の世界のスタートアップ投資額は、近年まれに見る勢いで増加し、昨年比なんと“倍増”の6500億ドル(約71兆円)に迫りました。ベンチャーキャピタル(VC)というアセットクラスの運用成績が、IPO市場の好況を受けて、前代未聞の高数値を叩き出しているからです。その結果、従来スタートアップに投資をしてこなかった種類のお金が、大量に流入しています。

世界の「運用資金総額」は100兆ドル(約1.1京円!)で、VCはその1%にも及びません。それでいて、このエコシステムが世界中の生活にもたらしている影響の大きさは、誰にも一目瞭然でしょう。残り99%超の運用資産が、ほんのわずかでもVCに流れ込むと、エコシステムの勢いに大きな変化をもたらします。2021年は、まさにそれが起こった年でした。

日本でも、2021年にVC投資額は急増し、海外からの資金流入も始まっていますが、経済規模や人口に比べるとまだまだ控え目。機関投資家からは、エコシステムが比較的未発達で、未知な国と見られているからです。しかし、というか、だからこそ、爆発の兆しを常に探している世界の投資家からの注目が、日本にどんどん集まっているのを感じます。