大王製紙社員が1月、インサイダー取引疑惑や不正会計疑惑を業界紙に内部告発した。大王製紙株式22%を持つ北越紀州製紙の岸本社長に今後の対応を聞いた。

Photo by Toshiaki Usami

──適正な第三者による特別調査委員会の設置を求めているが。

 大王製紙の関連会社は昨年7月から11月末にかけて北越紀州製紙株式2%を購入していた。この間の11月14日には、総合技術提携や(増益要因となる)負ののれんが出ることを発表しており、外形上、インサイダー取引の懸念がある。さらに11月7日にそのことを伝えたのに、その後も買い増している。大王製紙は社内調査および弁護士による事情聴取の結果、問題はなかったとしているが、詳細な調査報告を開示し、説明すべきだ。

 また今年2月14日の大王製紙のプレスリリースで海外関連会社の特別損失について北越紀州製紙および当社監査法人の了解を得ていると発表したが、そんな事実はまったくない。説明を聞いただけだ。

 大王製紙は突然2月21日に自らのガバナンス欠如を一部認めるリリースを行ったが、当社からの疑問には、ほとんど答えていない。

──大王製紙の大株主として、帳簿や取締役会議事録の閲覧、株主提案などの権利を行使すべきでは。

 われわれは不退転の決意で、公平、透明性の高い特別調査委員会の設置を求めていく。大王製紙が自浄作用を働かせてガバナンス、コンプライアンス問題を解決し、社会的信用を回復することが必須だ。現在の状況では、株主総会などで、大王製紙は株主や取引先などのステークホルダーから信任を得るのは難しいだろう。

 他の選択肢は、その後の話だ。