Photo: rudall30 / Getty Images
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世界を見渡せば、評価額10億ドル(約1300億円)以上の未上場企業・ユニコーンが見慣れた存在になりつつある今、新たに期待を寄せられているのが「ケンタウロス」企業だ。

ケンタウロスとは、ユニコーンの条件を満たし、かつ年間経常収益(ARR)が1億ドル(約130億円)を超える企業のこと。ケンタウロスが、特にSaaS事業を手がけるスタートアップとその投資家に、にわかに着目されている理由について、今回は考察する。

ユニコーン、ミノタウロス、ケンタウロス……スタートアップの呼び名いろいろ

そもそも評価額10億ドル以上の未上場スタートアップを「ユニコーン」と呼んだのは、伝説の一角獣になぞらえて「滅多にお目にかかれない」ことを表すためだ。実際、この言葉が使われ始めた2013年ごろには、まだ米国でも39社のスタートアップしか該当しなかったこともあり、稀少な存在だった。

ところが10年もたたないうちに、その数は激増した。CB Insightsによれば、2022年6月現在、世界のユニコーンスタートアップの総数は1168社、評価額の合計は3兆8370億ドル(約500兆円)にも上る。日本のスタートアップでは6社がカウントされている。

ユニコーンが増え続ける中、評価額100億ドル以上のデカコーン、1000億ドル以上のヘクトコーンといったバリエーションも現れた(ユニには「単一の、1つの」の意味がある。それに引っかけて「デカ=10倍の」「ヘクト=100倍の」の接頭語がそれぞれ付いている)。