「マルチプレイ×アバター」という切り口を軸に、複数人のユーザーが同時にコミュニケーションするための機能やアバターの制御機能、VRデバイスやPCなど多様なデバイスから同じ空間にアクセスするための機能などを搭載。このシステムを基盤としながらプロジェクトごとにカスタマイズを加えていくことで、毎回ゼロからバーチャルサービスを開発するよりもコストの削減や開発期間の短縮が見込める。

メタバース基盤「xambr」のイメージ
メタバース基盤「xambr」のイメージ

ambr代表取締役CEOの西村拓也氏によると、自社でVRSNS「仮想世界ambr」を開発してきた経験が同社の大きな強みだ。xambr自体がambrの裏側のシステムを企業向けに改良したものであり、toC向けのSNSを作ってきた経験はさまざまな企業のバーチャル空間を設計する上でも活かされているという。

「バーチャル空間を設計する上では(バーチャル空間ならではの)面白さやユーザー体験が重要だと考えています。バーチャル空間を活用する事例は増えてきていますが、単にバーチャルにするだけではユーザーに何回も遊んでもらったり、長く使い続けてもらうのは難しい。その点、自分たちは試行錯誤しながらVRSNSを運営してきた経験があります。その経験を踏まえて開発だけでなく、企画段階から一連の体験の設計に伴走できるのが強みです」(西村氏)

xambrを活用したプロジェクトの第一弾としては、東京ゲームショウ初のVR会場となる「TOKYO GAME SHOW VR 2021」の設計や開発を手がけた。

TOKYO GAME SHOW VR 2021
「TOKYO GAME SHOW VR 2021」には4日間で延べ21万人以上が来場した

“東京ゲームショウがゲームになる”をコンセプトに開発した同サービスは、アバターを介してバーチャル空間を歩き回りながら、出展企業のブースで最新ゲームの情報やゲームのキャラクターと出会えるというもの。80を超える「つながりのカケラ」を収集するといったゲーム要素も取り入れた。

TOKYO GAME SHOW VR 2021には4日間の開催期間内に延べ21万人以上が来場し、平均滞在時間は約27分だったという。VR比率も高く、来場者の66.7%はVRデバイスを通じて同イベントを楽しんだそうだ。

現在はxambrを用いて各企業ごとに個別のアプリを作成しているため、何らかのプラットフォームを活用する場合と比べて取得したバーチャルアイテムなどの使い道が限られるといった側面はある。その一方でプラットフォームなどの制約を受けず、アプリの起動時から終了時まですべての体験をコントロールできるのが特徴だ。