海外・国内旅行ガイドブックの決定版『地球の歩き方』から、今回紹介する記事は「【中国】外国人もスマホ決済可能、ビザ取得からモバイルの安心活用まで渡航準備はこれで完璧!」です。コロナ禍でやや遠くなってしまったように感じる中国が、最近じわじわと行きやすくなってきました。15日間のノービザ渡航解禁はまだですが、以前は外国人に難しかったスマホ決済サービスのハードルは下がっています。まずは中国行きの準備を整えましょう!(写真・文/ZNCHOR 高島正人)
ビザ(査証)を取得しよう
手続きはぬかりなく!
コロナ禍前に運用されていた「15日間以内の観光旅行はノービザ」という措置がまだ停止中のため(2024年4月現在)、中国へ渡航するにはビザ(査証)を取得する必要があります(※)。ビザは、その国に入国するための通行手形のようなもので、管轄機関へ出向き、申請書とパスポートを提出して申請し、発給を受ける手続きを経て取得します。なお、申請から発給までには時間がかかるので、余裕をもって申請しておくほうが安心です。
ビザの発給手続きや必要な要件は変更されることがありますので、総領事館や申請センターなどの手続き機関や観光局に確かめて準備を進めましょう(誰かにお任せしちゃいたい!……という方は、手続きを代行してくれる旅行会社等にお願いする方法もあります)。
■東京都における申請手続きの流れ
2024年3月末から4月頭にかけての、東京都における申請手続きは次のとおりでした。参考になさってください。
東京都を含む関東一円は中国駐日本大使館の管轄です。手続きは江東区有明にある「中国ビザ申請センター東京(以下ビザセンター)」で行います。いきなりビザセンターへ足を運んでもなんとかなるといえばなるのですが(後述)、まずは落ち着いて、行く前にウェブ上で「申請表」を作成して、ビザセンターへ登録しておきましょう。
なお、ウェブ上のボタンや画面の表示位置は、PCで手続きした場合を想定して解説しています。スマートフォンで手続きされる場合は表示位置が異なることがありますのでご注意ください。
ビザセンターのウェブページで申請表を作成
ビザセンターのトップページにアクセスし、いちばん左の枠(Select Country/Region)で国名【Japan】を選び、真ん中の枠(Select City)で管轄を選びます。筆者は【Tokyo】を選んで、右にある【Take Me To The Website】(わたしをサイトに連れてって)という青いボタンをクリック。
飛んだ先が英語版だったので右上の言語選択で【日本語】をクリック。画面中央「申請の流れ」から【査証高速リンク】をクリックした先で、左下の「オンラインによる申請表入力」の枠内にある【申請表入力】のボタンをクリックし、注意書きを読んだうえで【同意】すると、申請表入力の進捗状況と概要のページが開きます。左を見ると、申請表はおおまかに10分割されていることがわかります。これらを順番に入力していくことになります。
「申請するビザセンターを選択してください」という欄がありますが、もう選択してここにきているので、無視してかまいません。そもそも選択済みの都市名しか表示されません。
【新しい申請表を作成する】のラジオボタン(複数の選択肢から1つだけ選択する入力フォーム)をクリックすると、クリック可能な青いボタンが現れます。さあ、いよいよ申請表入力の始まりです!(遠い)
入力する文字は、基本的に「英語」にしましょう。中国語(簡体字)や日本語も通るみたいですが、通らなかった事例もあると聞きますので、半角のアルファベットで入れておくのが無難です。
URL https://www.visaforchina.cn/globle/
東京 https://www.visaforchina.cn/TYO2_JP/
大阪 https://www.visaforchina.cn/OSA2_JP/
名古屋 https://www.visaforchina.cn/NGO2_JP/
備考 北海道、東北6県、新潟県、山口県、九州7県、沖縄県は所轄の総領事館にて手続きを
申請表を作成する際の注意点
1.アップロードする顔写真
「第1部分-個人情報」では、「写真規定」に合う画像を用意します。いちばん注意したいのは、背景が「白」ということ!
【写真規定】をクリックして眺めてみると、全体に暗かったりぼやけていたり目が隠れるようなメガネの掛け方をしたりする論外の画像はもちろん、少しかっこつけて斜めに構えたり、ピアスやネックレスなどでやたらにアピールしたり、いかにも楽しげに破顔一笑したり、ちょっとかわいく首をかしげたりピースサインを添えたりする写真の例がたくさん並べられ、ダメなものには「ダメ」と明示されています。
このなかではあまり目立っていませんが、引っかかりがちなのが背景に影があるという例です。背景をきれいに白くしてくれる証明書撮影アプリや町角にある撮影ブースを用いたり、自ら画像処理ソフトを使って撮影後の画像から背景の影を消したりするなど、とにかく人物以外の余計なものが背景に映っていないように留意しなければなりません。
中国のビザセンターのシステムでは、可否をアップロード時に判定してくれますが、筆者が2023年夏にパキスタンのビザセンターを利用したときに同行者のひとりが悩んでいたのは、アップロードは受け付けてくれるけれどあとから「写真がダメ(理由は言わない)」と突き返されて申請却下が続いたことでした。
できるだけいい顔をした画像を使いたい気持ちはわかりますが、むしろ顔はどうでもいい(極論)ので、背景に影が入っていない画像を用意することが肝要です。
システムご納得の画像をアップロードすると「写真アップロード成功」の表示が現れて先へ進めるようになります。この「写真アップロード成功」をクリアすれば、申請表はほぼ作成完了と言っても過言ではありません。
2.ビザ申請時の有効期限と最長日数
申請したいビザが観光(T)なのか商用(M)なのかなどなどによって有効期限や最長日数に規定はあるのですが、入力時点でわからないときは、自分の渡航日程に必要な数字を入れておいてかまいません。ビザセンターへ申請に行ったときに、申請表のチェックが行われ、必要に応じてその場で修正を指示してくれます(指示どおりに書き換えて、サインを添えるだけでOK)。
3.過去の渡航情報
「第8部分-過去の渡航情報」では、以前に中国ビザを取ったことがあるかどうかを尋ねられます。観光ノービザ措置以前に中国へ渡ったことのある方は、当時もビザを取得されていること思いますが、今聞かれても細かいことは覚えてないよ……と思われる向きも多いでしょう。ご安心ください。ビザセンターへ行ったときに「ビザセンターができて以降は取っていません」と言えば、「そうか」とスルーしてくれます。
ビザセンター設立以降に取得したことのある方は、申請表作成の最初の画面にてご自分で過去データを読み出して確認できますので、それを見ながら入力しましょう。
申請表は、入力の途中で保存しておくことが可能です。左上に「申請番号」が表示されていますので、メモしておきましょう。次にまた中国へ行く機会に、今回入力した内容を読み出して新しい申請表を作ることもできて便利です。
入力し終えた申請表は、ビザセンターへ送信します。送信すると、【印刷】のボタンが現れます。ご自宅にプリンターがある方はその場でプリントを。ない方はPDFとして保存されますので、コンビニなどへ持ち込んでプリントしましょう。申請表はA4判で8枚プリントされます。
申請表をプリントしたら、いざビザセンターへ
ビザセンターに行く際は、パスポート、顔写真1枚(申請表に使ったのをプリントしたものでも可。ビザセンター内の撮影機でも1000円で撮影できますが1台しかないので混んでいると時間がかかります。お札が必須。領収書が出ます)を忘れずに。
過去に中国へ出入境したことのある人は、今お使いのパスポートにそのときの出入境スタンプが押してあるでしょう。そのページすべてと、顔写真のあるページを、申請カウンター横の10円コピー(要小銭。領収書は出ません)で漏れなくコピーして提出するようにと言われます。ですので、行く前に先回りしてコピーしておいて持参しましょう。モノクロコピーでOKです。
東京のビザセンターは、お台場にあります。りんかい線の国際展示場駅からはビッグサイト方面に行く途中の右手奥の建物(画像中)。ゆりかもめの東京ビッグサイト駅からは駅出口左手の陸橋から直結した建物(画像右)です。
ビザセンターで手続き
エレベーターで12階へ上がり、出入口に立つ警備員にプリントしてきた申請表を見せ、整理券(画像左上)をもらって入場します。右手の受付カウンターで申請表の確認を受けたあと受付票をもらい、呼ばれるのを待ちます。申請表確認時に、上述の顔写真1枚と、パスポートの中国入境スタンプのあるページのコピーを求められます。
呼び出しパネルに自分の番号が表示されたら、窓口カウンター1~17番の指定されたところへ座ります。ここでは対面で改めて申請表の記載内容をチェックされ、もし何か誤りがあればその場で修正を指示され、改めて写真を撮られます(必要に応じて指紋を取られる場合もあります)。パスポートの中国入境スタンプのあるページのコピーに不足があればここでも指摘されますので、事前に漏れなく取って提出しておけば、手続きをスムーズに進めることができます。なにか思わぬことがあっても、受付カウンターも窓口カウンターともに日本語ペラペラですからご心配には及びません。
チェックが通れば、受付日とビザ引き取り日の書かれた引き取り証を受け取って終了。パスポートは預けて帰ります。当日の混み具合にもよりますが、筆者はこの場で顔写真やパスポートのコピーを何度か取りつつも、おおむね30分強で手続きを完了しました。
なお、入口を入って左奥には無料のPCが複数並んでいて、もし申請表を用意しないままこの場に来てしまった人でもなんとかなるように配慮されています。とはいえ、泥縄で使っている人は中国人を含めてひとりもいませんでした。家で落ち着いて済ませてから訪れましょう。
ビザを引き取りに行く
引き取り証に記された日に、改めてビザセンターを訪れると、発給されたビザシールの貼られたパスポートを受け取ることができます。申請から発給まで、2024年4月現在は通常「4営業日」とのこと。ビザセンターのサイトでは、用意ができたら1ヵ月前に申請を、とも書かれているので、多少余裕を持って申請しておくほうが安心です。
さて、申請したときの出入口に立つ警備員に引き取り証を見せると、引き取り用の整理券(画像左下)をもらえます。引き取る部屋は申請した部屋とは違うので、いったん引き返して、エレベーターから真っすぐ行った先の左にある小さめの部屋へ。
カウンターの先客のなかには、数十冊のパスポートを積み上げている旅行会社の方らしき人もいて、これいつ順番回ってくるんだろうかと不安になったりもしますが、呼び出し画面を眺めて黙って待っているとカウンター18~23番のどれかから呼び出しを受けます。引き取り証と整理券を渡し、引き取り証に明記されていたビザ発給に必要な費用を、現金またはクレジットカード(VISAとMastercardは可。AMEXとJCBは不可)で支払います。領収書の必要な方は支払うときに伝えましょう。
先客のパスポートの数に圧倒されて1時間コースを覚悟していましたが、すぐに呼ばれて5分で終わりました。この部屋の入口には、「中国でのお支払い方法のご案内」というカラーコピー(日本語/中国語)が置いてありました。あんまり細かい手順までは書いてありませんが、興味のある人はもらっておくとよいでしょう。
ビザの取得が無事に済むと、これで行けるぞ!という気持ちも盛り上がってきます。意気揚々と帰宅して、次の準備を進めましょう。
※海南省に直接入境する場合に限り、ノービザで30日以内の滞在が可能(観光、ビジネス、会議、エキシビション、スポーツ競技参加など)