東京都のDX関連施策が加速している。8月26日には都庁内のDX事例を表彰するイベント「都庁DXアワード」を開催したほか、スタートアップ支援施策の新方針「Tokyo with STARTUP」を発表。さらに2023年2月にCityTech(都市×テクノロジーの造語。ITによる都市環境の課題解決などを指す)関連イベントも開催するとした。そして9月9日には、東京都内の自治体のDXを実現する外郭団体「GovTech東京」の構想を発表。2023年度秋をめどに活動を進める計画だという。
GovTech東京は東京都庁だけでなく、東京都内の区市町村全体のDX推進に向け、行政・民間の協働のための団体と位置づけている。具体的には(1)都庁各局のDX化、(2)区市町村DX、(3)デジタル基盤強化・共通化、(4)デジタル人材確保・育成、(5)データ利活用推進、(6)官民共創・新サービス創出──の6点に向けた活動を進めていく。都がGovTech東京の人材を確保し、区市町村に対して人材を派遣するほか、調達の共同化などをすることで、都内全体のDX化を実現するのが狙いだ。
具体的なマイルストーンや採用人材、人数などは今後計画していくことになるが、まずは数十人程度の高度ICT人材の採用を検討している。想定するのはプロジェクトマネージャー、システムアーキテクト、UI/UXデザイナー、アプリケーションエンジニア、インフラエンジニア、セキュリティエンジニアなど。
採用に際してはジョブ型の任期付き雇用で基本1年(最大5年程度)ごとの更新を想定する。給与は民間企業の報酬動向を参考にした水準に設定するとしており、フルフレックス制で兼業・副業、フルリモートなどの働き方も可能な制度を設計する予定だ。団体は財団法人など非営利組織での組成を検討しており、オフィスも都庁とは別に用意するという。ただし会見の時点ではこれ以上の詳細は未定としている。今回の構想発表を皮切りに具体的な組織作りを進める。
同日開催の会見には、東京都知事の小池百合子氏と副知事の宮坂学氏が登壇。小池氏は新型コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻など、不透明な世界の動向に触れ「危機をチャンスに変える発想が求められる。東京は“都市力”は高いが、デジタル競争力は弱い。だがこの逆境に発想を変える余力、ポテンシャルがある」と、DX施策の重要性をアピールした。