「経営が苦しくて本当にしんどいよ。どうすればいいかな、篠塚さん」──。
新型コロナウイルスの影響で多くの旅館やホテルが苦しい状態に陥っていた2020年4月1日、篠塚孝哉氏の元には宿泊施設を営む経営者たちからそのような声がいくつも寄せられた。
篠塚氏は新卒で入社したリクルートを経て、2011年にLoco Partnersを創業し代表取締役に就任。同社では厳選した宿泊施設を束ねた宿泊予約アプリ「Relux」を立ち上げ、2017年2月にKDDIグループへ参画して以降もサービスの成長を支えた。
上述した旅館経営者たちの悩みを聞いたのは、奇しくも篠塚氏が約9年間務めたLoco Partnersの代表を退任した翌日のこと。挨拶がてらお世話になった宿泊施設の関係者に電話をしていた時だった。
Loco Partnersを創業した2011年はまさに東日本大震災の直後で、同じようなシーンに直面したという。当時は微力ながらも現地に行って直接話をしたり、集客のサポートをしたりすることができた。