鳥羽氏はもともと同社製品の愛飲者でもある。いちユーザーとして「もっと商品が認知されてもいいのにな」という思いで発言をしたところ、古くからの友人でもあるユーグレナ取締役代表執行役員 CEOの永田暁彦氏からリプライが届き、「石垣島ユーグレナのアレンジレシピが存在する」ことを知った。
鳥羽氏はこのとき、すぐさま「(アレンジレシピを作る)仲間に入れてほしい」と連絡。素材の特徴を生かしたレシピ開発には自信があった。永田氏は鳥羽氏の提案を受け、一連の流れを社内に報告。トントン拍子で話が進み、代表の出雲氏を招き、鳥羽氏と出雲氏が顔を合わせることになった。
鳥羽氏は顔を合わせるなり、「(レシピの考案は)僕にしかできないことだと思います」と一言。当時同席した出雲氏にその時の印象を尋ねると、「あまりの熱量に言葉も出なかった」と振り返る。
「現実的にどのような取り組みができるのか、を話そうと思っていたら、鳥羽さんは開口一番『お金はどうでもいいから僕に任せてほしい』と言ったんです。『人生をかけてやります』とも言ってくれました。初対面の人もたくさんいる中で、ちょっとまともではないですよね(笑)。でも、彼のような熱量を持った人となら、これまでにない取り組みができるのではないかと思いました」(出雲氏)。
「コーポレートシェフ」というポジションをユーグレナが設けたのには、理由がある。
商品の監修やレシピ開発のアドバイスなどに、“外部の人間”として間接的な関わりを持つことを、鳥羽氏が嫌ったのだ。
「今でこそスーパーフードとして認知が広がったユーグレナですが、少し前まで『ユーグレナなんて……』と世間にそっぽを向かれていたんです。僕も会社が倒産しかけた話は知っています。それでも出雲さんは諦めなかった。そして今では、社会課題を解決する希望になっている。そうした背景を知っているからこそ、一緒に挑戦するなら外部のアドバイザーではなく、同じ会社の仲間として受け入れてほしかったんです」(鳥羽氏)
現在、鳥羽氏はコーポレートシェフとして、リモートをメインにsioのキッチンを使いながら、ユーグレナを活用したメニューの考案などを行っている。
子どもたちの健やかな未来のために、キッチンに立つ
「人生をかけて挑戦する」——60分のインタビューで、鳥羽氏は5回、こう言った。「ユーグレナのコーポレートシェフを務められるのは、自分しかいない」とも話す。
彼は、なぜこれほどまでに熱狂しているのか。背景をひも解いていくと、彼が掲げるミッションにたどり着いた。