堀正工業が入居していた品川区のビル堀正工業が入居していた品川区のビル(帝国データバンク撮影)

帝国データバンクが12月8日に発表した2023年11月の全国企業倒産(負債1000万円以上の法的整理が対象)は773件、負債総額は881億5000万円となった。件数は2022年5月以降19カ月連続で前年同月を上回り、今年1月~11月の累計件数は7691件で前年同期(5784件)を33.0%上回っている。このままのペースで推移すると、2023年(通年)の倒産件数は約8500件となる見通しだ。今回は倒産取材から見えてくる近時の倒産の特徴を解説するとともに、今年下半期で最も印象的だった倒産を一つ選んで振り返る。(帝国データバンク情報統括部 阿部成伸)

足元で増えている
「三つの倒産」

 倒産件数推移の年別推移を見ても分かる通り、コロナ関連融資(ゼロゼロ融資)をはじめとする中小企業支援策によって倒産が抑制されていた2021年、2022年とは大きく状況が変わり、2023年は倒産が急増。その数はコロナ前の水準に戻っていることが分かる。

 東京23区の企業倒産の取材を行う帝国データバンク情報統括部には、毎日のようにさまざまな業種の企業から「月末の入金がない」「電話がつながらない」といった取引先の照会が寄せられ、12人の取材記者が現地確認や情報収集で飛び回っている。

 そうした取材の報告や金融機関の審査担当者へのヒアリングをまとめると、近時の倒産について大きな特徴が三つ見えてくる。