阿部成伸
帝国データバンクが6月9日に発表した2025年5月の全国企業倒産(法的整理、負債1000万円以上)は835件となり、靴小売チェーンの「ロイヤル」(愛知、民事再生法、負債83億3000万円)や中華料理店経営の「聘珍楼」(神奈川、破産、同12億1000万円)などが倒産した。1月~5月累計でみると4134件で、前年同期と比べて54件増(1.3%増)とほぼ横ばいの推移となっているが、自動車部品大手「マレリ」の経営再建問題や「いわき信用組合」の不正融資問題、さらに7月にトランプ政権による相互関税の90日間の停止期限を迎えることなどを踏まえると、関連業界や取引先の業績悪化などに繋がるリスクは依然として高いままだ。こうしたなかで今年に入り倒産増加が目立っている業種に「中古車小売店」と「医療機関」がある。それぞれの業界の最新動向について解説する。

2024年度の企業倒産が11年ぶりに1万件を超えた。こうした中、トランプ関税により、自動車業界をはじめとする多くの業界への深刻な影響も懸念されている。今後の見通しについて、専門家が解説する。

2024年の診療所(病床数19床以下)経営事業者の倒産が過去最多を更新した。12月には医療脱毛大手の「アリシアクリニック」を運営する医療法人美実会(東京都港区、負債72億9500万円)と一般社団法人八桜会(東京都港区、同51億7500万円)が破産。債権者数(被害者数)は約9万1800人にのぼり大きな話題となった。さらに今年1月には都内で医療脱毛の「トイトイトイクリニック」3院を展開していた医療法人社団雪焔会が突然、事業を停止した。医療脱毛クリニックを含めた診療所業界の厳しい経営環境について解説する。

11年ぶりの1万件超えとなるか――。12月9日に2024年11月の全国企業倒産(法的整理かつ負債1000万円以上)がまとまり、件数は前年同月比7.9%増の834件、負債総額は同72.7%増の1522億4400万円となった。2021年に6015件と歴史的低水準となった倒産件数は、23年には8497件とコロナ前の水準に戻り、2024年は年初より11年ぶりに1万件超えとなるかが注目されてきた。そうしたなか11月までの累計件数は9053件となり、前年同期比で17.7%増加。このままのペースで推移すると通年件数はちょうど1万件になる見通しだ。

10月8日に帝国データバンクが発表した2024年9月の全国企業倒産(法的整理かつ負債1000万円以上)は741件となり29カ月連続で前年同月を上回った。このままのペースで推移し続けると2024年の通年件数は1万100件ほどになる見通しだ。1万件を超えれば2013年(1万332件)以来、11年ぶりとなる。そうしたなかで、倒産件数の増加が目立っている業種のひとつが「歯科医院」だ。今回は倒産が急増している歯科医院の倒産動向や経営環境について解説する。

夏休み真っ盛りのこの時期、帰省や旅行の移動手段として自動車を利用する人は多い。公共交通機関もいいが、暑い中、自宅から目的地までを座ったまま移動できることは、自動車を選ぶ大きなメリットだ。そして、自動車の安全を維持するために欠かせない存在が車検や定期点検を行う自動車整備事業者だ。しかし、事業を停止して市場から姿を消す自動車整備事業者が近年増えているのをご存じだろうか。今回は国内の自動車整備事業者(※)の休廃業・解散や経営の実態について解説する。

2023年の日本での出生数は75万8631人で過去最少、死亡数は159万503人で過去最多となり、死亡数は出生数の約2.1倍となった(厚生労働省データ)。少子高齢化が深刻になればなるほど企業における社長の高齢化や後継者・人手不足問題も深刻化していくことは言うまでもない。そうしたなか、日本における企業の誕生と消滅の実態はどうなっているのか。帝国データバンクの調査結果を紹介する。

帝国データバンクが4月8日に発表した2023年度の全国企業倒産は、前年度比で約3割増の8881件となった。特に目立ったのが、「飲食店」と「医療機関」で、ともに倒産件数は過去最多となった。調査結果の詳細と今後の見通しについて解説する。

2023年の全国企業倒産(法的整理、負債1000万円以上)は、前年から33.3%増となる8497件となり、2019年以来4年ぶりに8000件を超えた。コロナ支援策による倒産抑制期は終わり、コロナ前の水準に戻ったわけだが、抑制期間の反動で今後発生する倒産件数は加速度的に増えるとともに、「粉飾決算」をはじめとするコンプライアンス倒産の構成比が高まりそうだ。

帝国データバンクが12月8日に発表した2023年11月の全国企業倒産(負債1000万円以上の法的整理が対象)は773件、負債総額は881億5000万円となった。件数は2022年5月以降19カ月連続で前年同月を上回り、今年1月~11月の累計件数は7691件で前年同期(5784件)を33.0%上回っている。このままのペースで推移すると、2023年(通年)の倒産件数は約8500件となる見通しだ。今回は倒産取材から見えてくる近時の倒産の特徴を解説するとともに、今年下半期で最も印象的だった倒産を一つ選んで振り返る。

10月2日に開催されたジャニーズ事務所の会見で、同社は今後「廃業」する意向であることが発表された。多くの人は「ジャニーズ事務所はやがてなくなる」と理解したはずだが、その実態について知る機会はないはずだ。通常、企業が事業を停止するときにイメージされるのは「倒産」。倒産は取引先に未回収金が発生したり、取引先が連鎖倒産したりするなど、悪影響が広がるために周囲から注目を浴びる。一方、廃業は原則として周囲に迷惑をかけずに事業を終えることもあり注目度は低い。だが、今後、より深刻化する経営者の高齢化によって、「廃業」はより身近な言葉となるだろう。

ファンドが出資する企業の倒産が2023年に入り急増していることで、ファンドから出資を受けている企業と取引する企業などから不安の声が上がっている。本来、出資企業の事業を再生させて売却益を得る目的のイメージが強いファンドだが、コロナ発生を機に当初の計画や見通しに狂いが生じ、決断を余儀なくされているようだ。帝国データバンクでは2014年以降の10年間におけるファンド出資企業の倒産動向を調査・分析した。その結果、今年の倒産件数は過去最多ペースとなっていることが明らかになった。

2023年は以前から「コロナ融資の返済本格化」に伴う倒産増加が懸念されてきたが、それは現実のものとなるのか。今回は「2023年、コロナ融資の返済本格化」の背景・実態を解説するとともに、注目すべきデータから、今後の倒産動向について考えてみたい。

今年1月の全国における企業倒産件数は9カ月連続で前年同月を上回り、増加傾向が鮮明になっている。特に目立つのが物価高倒産だ。その厳しい現状や今後の値上げ見通しについて、帝国データバンクが最新データで解説する。

政府によるコロナ政策などにより倒産件数の歴史的な低水準が続く中、2022年の全国企業倒産が3年ぶりに前年を上回った。さらに原油、燃料、原材料などの仕入れ価格の上昇を価格転嫁できずに倒産する「物価高倒産」は過去最多を記録。さらに令和以降に設立された企業の倒産も急増している。今年は倒産の増加傾向が昨年以上に鮮明化しそうだ。

帝国データバンクが11月9日に発表した2022年10月の全国企業倒産(法的整理かつ負債1000万円以上を対象)は、前年同月(512件)比16.0%増の594件となり、6カ月連続で前年同月を上回った。年上半期とは一転し、年下半期は増加基調に転じている。また、2022年1月~10月の累計件数は5214件となり、前年同期を168件上回っている。2021年の年間倒産件数は6015件で帝国データバンクが全国企業倒産集計の発表を開始した1964年以降、1965年(5690件)、1966年(5919件)に次ぐ歴史的な低水準となったが、増加基調に転じている現状を踏まえると2022年は過去最少を更新する可能性は低いとみられる。そうしたなか、今回は最近の大型倒産や話題性の高い企業の倒産において不適切案件が増えていることや、地域金融機関担当者から聞いたコロナ禍で倒産する企業の共通点について解説する。

長引くコロナ禍で大規模に執行されたゼロゼロ融資だが、返済期限を迎える企業数は来夏にもピークとなりそうだ。こうした中、今後の増加が懸念されるゾンビ企業の実態はどうなっているのか。帝国データバンクが最新調査を基に解説する。

帝国データバンクが6月8日に発表した2022年5月の「全国企業倒産集計」(負債1000万円以上の法的整理)において、単月の倒産件数が12カ月ぶりに前年同月を上回った。また一方でロシア・ウクライナ情勢などを背景とした原材料費の高騰が企業の経営を圧迫している。現状はどうなっているのだろうか。

帝国データバンクが4月8日に発表した2021年度(2021年4月~2022年3月)の全国企業倒産(法的整理、負債1000万円以上)は5916件、負債総額は1兆1828億7100万円となった。帝国データバンクは全国企業倒産集計を1964年6月分から毎月集計・発表し、そのデータを基に年報や年度報も作成している。その長い歴史のなかで、2021年度の件数は1965年度(5593件)に次ぐ歴史的な少なさとなった。コロナ禍となった2020年度、2021年度はかつてない規模の中小企業支援策で倒産が大きく抑制され続けてきたわけだが、足元ではロシア・ウクライナ情勢の影響、原材料価格高騰・価格転嫁問題など新たな不安要素も生じている。2022年度の倒産件数は増加に転じるのか、それともさらに減り続けるのか。

昨年2月、経済産業省が2026年をめどに紙の約束手形を廃止する方針であることが報じられ話題となった。紙の手形が廃止となる背景にはさまざまな要因がある。
