今回は、プロ野球球団の「福岡ソフトバンクホークス」と「阪神タイガース」を取り上げる。コロナ禍で大きな打撃を受けた両球団だが、実は「コロナ禍への立ち向かい方」は大きく違っていた。決算書を深掘りしてわかった「倒産しにくい球団」の財務的な特徴とは。(中京大学国際学部・同大学院経営学研究科教授 矢部謙介)
コロナ禍で大きな打撃を受けた
プロ野球球団
コロナ禍は、プロ野球にも大きな打撃を及ぼした。感染が急拡大した2020年には、3月に予定されていた公式戦の開幕が6月まで大幅に延期されるとともに、その後も無観客試合での開催を余儀なくされた。その後、徐々に制限付きでの有観客試合が認められるようになったが、21年に入っても緊急事態宣言時には再び無観客試合が行われた。
こうしたコロナ禍における非常事態は、プロ野球球団の経営に対してどのような影響を及ぼしたのだろうか。
貸借対照表(B/S)と、企業経営の安全性を見る上での代表的な指標である、流動比率、固定比率、自己資本比率という3つの指標を用いて、福岡ソフトバンクホークス(以下、ソフトバンク)と阪神タイガース(以下、阪神)がコロナ禍によってどのような影響を受けたのか、そして両球団がコロナ禍に対してどのように立ち向かったのかを財務的な側面から見ていくことにしよう。