大手パチンコチェーンの「ガイア」(東京都中央区)とグループ6社が10月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。負債はガイア単体ベースで792億円(7月31日現在、ただしこのうち「公租公課」13億円は8月31日現在)、グループの簡易連結ベースでは1133億円(5月31日現在)となり、パチンコ業界では過去最大級の大型倒産となった。とはいえ、パチンコ業界はさぞ不景気なのだろうと思いきや、どうやらそうでもないらしい。業界誌の記者によると「遊技人口は2020年に底を打つなど、業界には明るさも見え始めている」という。実際、ガイアが裁判所に提出した民事再生の申立書をひもとくと、パチスロ新機種の人気沸騰が倒産の引き金となったことが明かされていた。(東京経済東京本部長 井出豪彦)
申立書に書かれた
経営破綻までの経緯
まず、ガイアの申立書から、同社の破綻に至る経緯をかいつまんで見てみよう。
<1.積極的な設備投資と短期性資金の増大>
ガイアグループは2015年以降、パチンコ・スロット業界への規制強化が継続し、市場規模が縮小するなかでも積極的な設備投資を実施した。そのため遊技機メーカーや建設業者への設備手形の残高が増加し、既存遊技機・店舗設備を利用した「セールス・アンド・リースバック」および「割賦バック」による調達も増加したところ、これらの短期性資金により資金繰りが圧迫されることになった。
なお、上記の「セールス・アンド・リースバック」というのは、所有物件を売却した後に同物件を借りること。「割賦バック」も所有物件をいったん売却するのは同じだが、5年以内の分割払いで買い戻す。いずれにしても売却したとき資金が捻出できるが、以後は毎月の支払いに追われることになる。