若者からの人気も高い
成田悠輔と宮台真司

経済学者の成田悠輔経済学者の成田悠輔 Photo:REX/AFLO

 多くの政治家や経営者が巣立っただけではない。麻布高校(私立・東京都港区)の真骨頂は、長ずるに及んで学者や文化人として活躍した卒業生がたくさんいることにある。国際政経学者、小説家、画家、俳優、音楽家…と実に多彩だ。

 ソーシャルメディアやテレビで、人気が急上昇している若手経済学者がいる。米イエール大でアシスタント・プロフェッサー(助教)を務める成田悠輔だ。「高齢者の集団自決」による日本経済活性化を提唱するなど、過激な発言で注目を集める一方、「半熟仮想」という会社の創業者でもあり、起業家の顔も持つ。

 成田は、麻布中・高校から2005年に東京大経済学部に進学、同大大学院修士課程を修了後に、米MIT(マサチューセッツ工科大)でPh.D.を取得した。

 専門領域は「創造とデザイン」だ。データ・アルゴリズム、数学、公共政策などを縦横に駆使する新しい経済学だ。東大卒業後に最優秀卒業論文大内兵衛賞を受賞、ダボス会議(世界経済フォーラム)では「ヤング・グローバル・リーダー」を受賞した。天才的な研究者としてもてはやされ、報道、討論、バラエティーなどさまざまな番組に出演し、メディアの寵児にもなっている。

 若者に人気の学者といえば、宮台真司の名がすぐに浮かぶ。サブカルチャーに詳しい社会学者で、インターネットテレビ局などで情報発信を続けている。麻布高校から東京大文学部社会学科に進み、同大大学院修士課程修了だ。

 宮台は22年11月29日夕、教授を務める東京・八王子市の東京都立大南大沢キャンパス構内で、面識のない男に襲われ、全治1カ月の重傷を負った。23年2月、容疑者とみられる男(41歳)が死亡(自殺)していたことが判明した。男の自宅からは「学者が一番上に来てはいけない人種」などと書かれたメモ帳が見つかった。