富士ソフト創業の野沢宏など
経済界で活躍する多くの卒業生
神奈川県のほぼ中央に位置し、相模湾に面する平塚市。東海道五十三次のうち日本橋から7番目の宿場町として徳川時代から栄えていた。神奈川県立平塚江南高校は、公立としては県内2番目に設立された旧制高等女学校を前身とする。略称は「江南」だ。
経済界で活躍した卒業生が、目立つ。
ソフトウエアの開発・販売、システムインテグレーションなどを行う富士ソフトという会社がある。どの企業グループにも属さない独立系で、横浜市中区に本社を置いている。高校生などが参加する「全日本ロボット相撲大会」の主催企業でもある。
この会社は、野沢宏という人物(1942年5月生まれ)が70年に創業した。横浜市にある団地の自宅内で徒手空拳でスタートし、現在ではグループ全体で約1万7000人の従業員を抱え、年間売上高は2787億円(2022年12月期)に達する。東証プライム市場に上場している。
野沢は、平塚江南高校から東京電機大工学部電子工学科を卒業、会社勤めが肌に合わず、4年で独立した。本格的なコンピューター時代の幕開け、それに高度成長真っただ中というタイミングにも恵まれ、富士ソフトは急成長を続けた。
創業者の野沢は社長を経て代表権のない会長になったが、リーマンショックにより社長に復帰した時期もあった。23年春で取締役ポストも退任した。
大企業の現役経営者としては、製紙業界第2位の日本製紙の社長・野沢徹が、OBだ。慶応大法学部を経て、81年に旧十條製紙に入社した生え抜きだ。
東証プライムに上場している河西工業(本社・神奈川県寒川町)の社長・半谷勝二もOBだ。
遠藤信博は、日本電気(NEC)社長・会長を務め、22年6月末に特別顧問になった。現在は日本経団連副会長だ。
三井田健は明電舎の社長を経て、現会長だ。
二宮涼太郎は、首都圏を中心に130店舗を展開するスーパー、オーケーの社長を16年から務めている。東大文学部卒で三菱商事出身だ。
水島藤一郎は、三井住友銀行副頭取を経て13年以来、日本年金機構理事長だ。「消えた年金」問題が大きな政治案件になり、政府に指名されて年金関係政府機関の再建役として送り込まれた。
河西利信は米国の不動産企業であるジョーンズラングラサールの日本法人社長だ。
スペシャルコーヒーで知られる丸山珈琲の代表・丸山健太郎もいる。産地から直接、買い付けたコーヒー生豆の素材の持ち味を最大限に引き出すことが、丸山珈琲の焙煎の原点だ。軽井沢に本店を構え、計8店がある。
フランス菓子「葦」の社長・芦川浩がOBだ。湘南各地の駅ビルなどに12店舗を展開している。
地元・平塚市を本拠とする荒井商事は、中古車オークションと食品流通を二本柱にしている。会長の荒井寿一と、弟で社長の荒井亮三はそろって江南出身だ。