「郊外物件で、総戸数と期分け分譲された戸数の合計が合わない物件が多く出てきている。売れない物件は二次卸に回されて中古マーケットに直接流れ込んでいるのではないか」と井出武・東京カンテイ上席主任研究員は言う。これまではマンション立地としても人気だった、立川や八王子などの国分寺以西の郊外や、世田谷・杉並区などの住宅地でもこうした現象が見られるようになっているという。
超高額物件と苦戦物件が入り交じり、平均値を見るだけでは何が起きているか全く分からない。二極化が今マンション市場を「カオス」にしている。
二極化は管理でも進む。新築物件で、住民は管理を丸投げできる第三者管理方式が普及しつつある一方で、委託していた管理会社から契約を切られ、後継会社が見つからずに自主管理を迫られるところもあるという。
一方、マンション管理業界にもインフレの波が押し寄せている。清掃や警備などの日常管理に関わる人件費の高騰に、電気代の値上げやマンション保険の保険料の高騰――。これらを受けて、マンション管理会社が管理組合への管理委託費を軒並み増額要求しているのだ。さらに、組合が積み立てる修繕積立金についても、建設費の高騰により計画を見直さなければならないところが増えているのだ。