軽自動車・ミニバンは
「顧客に対して過保護なクルマ」

 試乗した感想としては、以下が主だった点だ。

「スペーシア」のインテリア。ダッシュボードセンターを基点に、助手席側に大きな広がり感を強調。シフター、エアコン、パワーウインドウなどスイッチ類の質感が高い Photo by Kenji Momota

・スズキらしい、生真面目なモノ造り。
・インテリアは、広くなってもドンガラ感がなく、明るい雰囲気の上質な空間。
・ハンドリングは軽快で、エンジントルク特性、CVTとの相性が良く乗りやすい。
・リアサスの動きに“深み”が増すと、さらに上質な乗り心地になるはず。

 また総論として、軽自動車が成熟期に入ったことを強く感じた。軽自動車のなかでも女性顧客が多いハイト系では、顧客の希望やワガママを徹底的に盛り込んだ超高機能・生活車として、そろそろ“ネタ切れ”してきたと感じる。

 スズキの四輪製品・技術開発部長の藤崎雅之氏は「軽自動車の潮目が変わった。これまではダイハツとの燃費競争が主体。そこにホンダ(の独特の商品企画性)への対策が必然となった。そのなかで、弊社ラインアップで各商品の役割をより明確しなければならない」と語る。

 また筆者から「TPP絡みで様々な報道があるが、仮定の話として、米国メーカーは軽自動車を作ることができると思うか?」と聞いてみた。

 すると「このサイズ感の商品は当然できる。だが、問題は“気配り”だ。軽自動車とは顧客への気配りのクルマ。ティッシュボックスの収納場所を、これだけ車内各所に設けるなど、こうした(顧客への配慮として細か過ぎるような)商品作りは、アメリカでは難しいと思う」(同)と指摘した。

平日の東京ディズニーランド駐車場。ミニバンの多さが目立つ。そのなかに黄色ナンバープレートの軽自動車が交じる Photo by Kenji Momota

 これを筆者なりに換言すれば、日本国内の顧客は軽自動車、さらには日本国内専用ミニバンという“顧客に対して過保護なクルマ”に、すっかり馴染んでしまっているのだ。

 車両価格100万円強~150万円(=メーカーとディーラーが薄利)で、これだけの機能性と、日常走行での満足度。米国メーカーが手間ヒマかけて日本国内市場向けに独自の軽自動車を導入するとは思えない。