中国資産にとって今年はひどい1年だったが、中国の通貨は国際的な決済手段としての地歩を固めつつある。世界通貨としての人民元の地位は、中国自身の資本規制という大きな障害に直面している。それでも、世界で人民元建て貿易への意欲が高まっていることで、中国が将来仮に西側諸国と対立して制裁が科されたとしても、同国経済は少なくともある程度は保護されるだろう。また、今後の中国の成長率が予想より低いと仮定しても、人民元建て貿易が人民元自体の構造的な支えになる可能性もある。統計の数字には目を見張るものがある。中国の中央銀行と商務部の公式発表によると、同国のモノの貿易における人民元決済は2020年半ば以降、月次ベースで2倍以上に増加。現在の決済額は全体の4分の1以上に相当する。その割合は19年の約13%から上昇し、15年後半の水準に戻った。当時は、中国の不意打ち的な人民元切り下げと資本規制の強化により、人民元の国際化に向けた大きな波が打ち消された。
人民元、静かに地歩を固める
中国通貨の世界的な使用の急増は、将来の西側制裁の影響を弱めかねない
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