アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は、機器とサービスを統合した「ウォールドガーデン(壁に囲まれた庭)」と呼ばれるエコシステムを強みに、同社を巨大企業に成長させた。その戦略は膨大な利益を生み出したが、同社にとってますます問題になりつつある。
アップルのハードウエア事業は低迷しており、各デバイスの売上高は伸び悩むか減少している。同社はそれを補うため、サブスクリプション(定額課金)やアップストアの販売手数料など、拡大するサービスへの依存度を高めており、今やその売上高を守り、増やすことに努めなければならない状況にある。この戦略は長期的には、裏目に出る可能性がある。
アップルのウォールドガーデンは、業界の基準からしても異例なほど広範囲だ。それは同社が販売するガジェットの集まりというだけにとどまらない。ハードウエアとソフトウエアの双方に関して全てが統合されており、アップルの顧客にとって、ガーデン外のデバイスを使用したり、競合するエコシステムに乗り換えたりすることが非常に難しくなっている。規制当局やエコノミストの言葉を借りれば、切り替えコストが高いのだ。