パチンコ、麻雀、女、酒、タバコを欠かさず、ほぼニート状態の父親。それに母親が共依存するという複雑な家庭環境に育った。14歳のとき、父親が自己破産して失踪。貧しい生活を支えた母親は病に倒れ、半身不随に。苦境のなか、独学で大学に合格、奨学金を得た。そして、兄・成田悠輔がくれた本をきっかけに「起業」を志した。話題の書『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険』(ダイヤモンド社)の著者・成田修造は、体当たりで起業家の道を歩むようになる。本書は起業を通じた人生の指南書で、何歳からでも組織に頼らず、副業・独立・起業でビジネスを展開するときに必須の内容。これからは会社員であっても、自分で事業をつくれると強い。その思考法とノウハウを全公開する。
※本稿は、『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。
スタートアップ周辺から
見える景色
スタートアップに身を置いてきた僕の目線では、大企業に勤めている人とは、また違った景色も見えてきます。
この30年で日本は大いに停滞しましたが、スタートアップ市場は急成長しました。
そのことを如実に表しているのが、スタートアップに対する投資額の増え方です。
急増するスタートアップの
資金調達額
クラウドワークスが創業した2011年と2022年を比べると、スタートアップの資金調達額は10倍以上に膨れ上がっています。
2011年は年間600億円ほどだったのが、22年には8000億円を超えているのです。
米国の規模から比べると、まだまだ低い水準とはいえ、1社当たりの調達額も上昇傾向にあり、特にスタートアップの成長ステージの最終段階に当たる、上場が視野に入った「レイターステージ」の大型調達が増加しています。
かつてないほどの資金が流入
大企業や銀行などが、VC(ベンチャーキャピタル)に多額の投資をして、これがスタートアップに流れています。
最近はCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)といって、総合商社や自動車メーカー、家電メーカーといった大企業が、自社内にVCを設けてスタートアップに投資するケースも増えています。
そうした状況があいまって、スタートアップにかつてないほどの資金が流れているのです。
大きな資金が動いて
急速に成長している
日本のどこを探しても、10年ほどの間に投資金額が10倍以上も増えた産業はないでしょう。
低成長を続けた日本においても、スタートアップの周辺では大きなお金が動き、急速な成長を遂げているのです。
2030年にAIを活用した完全自動運転(レベル5)のEV(電気自動車)の発売を目指すTuring(チューリング)というスタートアップが、創業からわずか半年ほどで、J-KISS型新株予約権方式により10億円の資金調達をしました。
J-KISS型新株予約権方式というのは、資金調達するスタートアップが新株予約権を発行して、これを投資会社が有償で引き受けることで投資が実行されるものです。
スケールの大きなビジネスも
立ち上げ可能な資金調達環境
また、核融合発電炉で使用される部品の開発などを主力事業とする京大発スタートアップ、京都フュージョニアリングは、2019年の創業からわずか4年ほどで、第三者割当増資により105億円を調達しました。
第三者割当増資というのは、会社の資金調達方法の1つで、株主であるか否かを問わず、特定の第三者に新株を引き受ける権利を与えて行う増資のことです。
他にも民間による月面探査プロジェクトを目指すispace(アイスペース)など、宇宙関連のスタートアップも増えています。
10年前ではこのようなスケールの事業をスタートアップが行うことは非常に難易度が高かったのですが、今の資金調達環境であれば成功する可能性があります。
※本稿は、『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。