地政学の専門家たちは今世紀を「アジアの世紀」と評することが多い。中国とインドの経済発展が、500年にわたる欧米優位にそろそろ終止符を打つとされている。しかし、こうした考えの信奉者たちは、しばしば興味深い事実を見落としている。それは中印両国が引き続き世界の国外移住者の大部分を出しているということだ。両国の繁栄と安定が確実なのであれば、なぜ高学歴の人や富裕層を含むそれほど多くの人が両国から出たくてたまらないのだろうか。米国に不法入国するために生命の危険を冒すことをいとわないインド人と中国人が毎年何万人もいる。米国土安全保障省税関・国境取締局(CBP)の職員は2023年度に、インド人9万7000人、中国人5万3000人の「許可されない外国人」、すなわち米国への入国許可を得ていない人々に出くわした。この数は21年度と比べると、インド人が3倍強、中国人は2倍強に当たる。CBPの統計に基づけば、こうした中国人の数は今年、大幅に増加する見通しだ。
【オピニオン】中国・インドから逃げ出す国民
なぜ高学歴・富裕層は台頭する母国を離れたがるのか
有料会員限定
あなたにおすすめ