その結果、家庭用トイレの水を流す際に蓋が開けられたままだったか閉められたかにかかわりなく、トイレのさまざまな表面から採取されたウイルスの量に差はないことが明らかになった。同様の結果は、公衆トイレでも確認された。
次に、研究グループは、トイレ掃除の際に塩酸配合の洗剤を使った場合と使わない場合でのウイルス除去効果についても分析した。
その結果、塩酸配合洗剤を使ってブラシで清掃すると洗剤を使わなかった場合と比べて、便器内の水から検出されるウイルス量が99.99%超減少することが示された。また、トイレブラシから検出されるウイルス量も、洗剤を使った場合では使わない場合に比べてウイルス量が97.64%減少していた。
Gerba氏は、「便器の蓋を閉めてから水を流しても、ウイルス粒子の飛散防止には意味がないことが示された」と話す。
トイレ内での感染リスクを下げるには
どうすれば良いか
このことを踏まえて研究グループは、トイレ内での感染リスクを下げる最も効果的な方法は、水を流す前に便器の中に消毒剤を入れるか、トイレのタンク内にあらかじめ消毒剤ディスペンサーを入れておくことだと助言している。また、定期的に便器をブラシで洗浄し、その後にトイレ内のさまざまな表面を消毒することや、殺菌効果が持続する消毒剤を使用することも有効だと付言している。
米感染管理疫学専門家協会(APIC)のTania Bubb氏は、同協会のニュースリリースの中で、「この研究は、病原体がどのように広がっていくのか、また、感染の連鎖を断ち切るためにどのような対策を講じればよいのかをより明確に理解するのに役立つ。また、医療現場でウイルス感染の拡大を抑えるためには、さまざまな表面の定期的な消毒が重要であることも強調されている」と述べている。(HealthDay news 2024年1月25日)
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