身に着ける洋服やバッグをブランド品で固めているA子さん(50歳)は、病気やケガをしたときもわざわざ都心にある有名な大学病院に通っている。

 日本では健康保険証1枚あれば、全国一律の価格で医療を受けられ、町の診療所に行くか、大学病院に行くかも患者が自由に選ぶことができる。そのため、A子さんのようにちょっとした病気でも大学病院に通う人もいる。

 だが、今後は高度な治療が必要ないのに大病院を受診した患者は、自己負担が高くなる可能性があるので注意が必要だ。

大病院の初診料、外来診療料は
健康保険の適用範囲が狭められる

 病院や診療所で受ける治療、薬局で調剤してもらう医薬品のほとんどは健康保険が適用されている。医療費は国が決める公定価格なので、原則的に全国どこの医療機関でも同じだ。

 実際の医療費がいくらになるかは、その人が受けた検査、手術、薬の処方などによって異なるが、診察を受けるたびに必ずかかるのが「初診料」「再診料・外来診療料」という基本料金だ。これは、問診や触診、血圧測定といった医療行為に対する診療報酬で、次のような価格になっている。

●初診料
 その病気やケガで、初めて医療機関を受診した時にかかる基本料金。診療所でも病院でも一律に2700円。

●再診料・外来診療料
 その病気やケガで、2回目以降に医療機関を受診したときにかかる基本料金。再診料は、診療所と入院用のベッド数が200床未満の病院に適用されている診療報酬で690円。入院用のベッド数200床以上の病院では外来診療料と名称が変わり、価格も10円高い700円になる。