「自力整体」とは、整体プロの技法を自分におこなう人気メソッドです。「久しぶりにぐっすり眠れた」「10年間苦しんできた慢性痛から解放された」「脊柱管狭窄症の診断を受けたが、痛みが和らぎ手術を回避できた!」「健康的にダイエットできた」「更年期の不調が消えた」など、多くの声が寄せられています。
現在、国内・海外で約15,000名が実践。鍼灸、整体、ヨガを構成した動きで、痛み、コリ、冷え、疲労、不眠、便秘、不定愁訴を解消します。
今回、3分以内で痛みや不調を解決するワークを集めた
『すぐできる自力整体』が発売。症状別の「悩み解決ワーク」のほか、じっくりほぐして骨盤調整もできる「4つのコース(動画つき)」を収録。著者の矢上真理恵さんは、「不調のほとんどは自力整体で解消できる」と語ります。
本書や既刊『すごい自力整体』より一部を抜粋・編集し、その中身を紹介しましょう。
監修:矢上 裕 矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
(写真/榊智朗 構成/依田則子)

【整体プロが指南】熟睡できない人は太りやすい? ぐっすり眠れる「2つの習慣」

自力整体は別名「熟睡ダイエット」

「自力整体」は、熟睡できて、健康的にやせるため、別名「熟睡ダイエット」ともいえます。

熟睡できれば、夜間の代謝もアップ、翌朝の排泄もスムーズになります。

痛み・不調・不定愁訴を解決しながら、健康的な適正体重になるのも特徴です。

本の執筆時、ダイエットを目的とした自力整体のモニターさんを募集。多くの方がダイエット効果を実感されました。

50歳を過ぎ、肥満・不眠・五十肩に襲われたLさん

当時52歳のLさん(女性)は、50代になり少しずつ体重増加。身長157cmで体重58kg。BMIは標準でも、自分のベストとは言えませんでした。

眠りは浅くなり、夜中トイレに起きる回数も増えました。五十肩による右肩の痛みも現れはじめ、すっきりしない日々をおくっていたのです。

Lさんには、2つの習慣を実践していただきました。

Lさんへアドバイスした「2つの習慣」

1つ目は、熟睡できるように、夜寝る前20分間の「自力整体」で、体をしっかりほぐしていただきました(※ワークの一部を後半で紹介)。

2つ目は、体を内側から整える「整食法」の実践です。Lさんは胃腸虚弱で代謝力・排泄力が落ちていたからです。「整食法」とは、夕食は寝る3時間前に終わらせ、朝食は固形物を控えお粥やスープなどにする、自力整体の食事法です(※いま何らかの痛みや不調を抱える方におすすめする食事法です。ムリはしないように)。

夜中にトイレに起きることなく熟睡できるように! 気がつけば体重6kg減!

モニター期間は3ヵ月でしたが、スタート初日から、夜中トイレに起きることなく熟睡できるように。翌朝の便通も驚くほどよくなりました。

1ヵ月も経たないうちに、58kgからスタートした体重は3kg減。下半身のむくみも解消。さらに3ヵ月後には体重6kg減! 

ここ数年の悩みだった五十肩はすっかり改善。巻き肩も改善し、背筋もまっすぐに。

ぐっすり眠れるようになったおかげで、肌ツヤもよくなったLさん。 より素敵な大人の女性に生まれ変わりました。

「自力整体」で熟睡できる理由

私はいつも生徒さんに、「自力整体をおこなう時間帯は、夜がおすすめです」とお伝えしています。なぜなら終了後、筋肉がほぐれて体が脱力するため、心地よい眠気に誘われ熟睡できるから。アクビもたくさん出ます。これは、体を休ませる働きをする自律神経「副交感神経」が優位になるためです。

自律神経には、交感神経と副交感神経があります。交感神経とは、日の出とともに活発になる神経。副交感神経とは、日没後に活発になる休息のための神経です。眠りが浅い人、何度も目覚めてしまう人は、この自律神経の切り替えのリズムが乱れている可能性があります。

生徒さんの多くは、自力整体をおこなった夜は熟睡できて、とくに夜中のトイレの回数が減ったり、朝まで一度も目覚めなかったという声は多いのです。私も、とくに夜のクラスがある日は、あっという間に入眠、朝まで一度も目覚めることなく熟睡できて、朝は目覚ましをかけなくても、すっきり目覚めることができます。

今回は、Lさんも実践された20分間の自力整体の最後におこなう「30秒呼吸法」のワークを紹介しましょう。腹式呼吸で副交感神経を優位にしながら、熟睡モードへ導きます。日ごろ、呼吸が浅い方にもおすすめです。体中に酸素と「気」(生命のエネルギーのようなもの)をめぐらせます。

【整体プロが指南】熟睡できない人は太りやすい? ぐっすり眠れる「2つの習慣」 矢上 真理恵(やがみ・まりえ)写真左
矢上予防医学研究所ディレクター
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見みて、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約15,000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』(ダイヤモンド社)がある。

監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)写真右
矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約500名の指導者のもと、約15,000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体』(ともに新星出版社)など多数。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。 写真/榊智朗