米企業は学位にこだわっている。雇用主は長期にわたって十分な労働力を確保できておらず、採用対象を広げる動きが出てきている。中でも期待されているのが、大学卒業資格を持たない人材だ。非大卒者は25歳以上の米国人の3分の2近くを占め、これまで多くの管理職や技術職で不適格とされてきた。一部企業が学歴不問の採用を進めていることで、より多くの人に門戸が開かれるようになった。だが最新の分析によると、学位要件が撤廃された後も、学位がない人が就けた職種の割合はほぼ変わっていない。理由はいくつかある。大卒者を優遇する自動審査ツール、学士号の価値に関する採用担当者の思い込みを変えるのが難しいことなどだ。多くの雇用主は、時間と人口動態が味方しないことを理解していると話す。ベビーブーム世代は高齢になって労働力人口から退いている。米国では少子化が進行。移民政策が変わったため国外からの補てんを当てにするのは難しい。一方で大学進学率は低下傾向にある。25歳以上の米国人のうち、学士号かそれ以上の学位を持っているのは38%にすぎない。