米半導体大手エヌビディアは同社のチップが基盤となる人工知能(AI)ブームのおかげで一躍、投資家の人気者となった。それより目立たないが、同社はベンチャーキャピタル(VC)投資家としてもビジネス界で群を抜く存在だ。米調査会社ディールロジックのデータによると、昨年、エヌビディアは三十数社のスタートアップ企業に投資し、その活動は前年の3倍以上となった。エヌビディアの決算資料によると、他社への投資額は1月末時点で約15億5000万ドル(約2270億円)相当に達した。前年同月の3億ドルから急増している。この賭けは金銭的リターンのためだけではない。AIが新たな業種に用途を拡大し、新しい問題を解決するにつれ、こうした投資はエヌビディアがIT業界で進行中のトレンドを知るための「窓」となる。また、強力なAIモデルの学習向け半導体の分野で同社が築いた独占的地位にライバルたちが攻勢をかけようとする中、同社の技術に依存する企業で構成される将来のエコシステムを構築するのにも役立つ。