施術を受けても、数日でまた痛む。
座っているだけで、お尻や腰がつらくなる――。

そんな「ぶり返す痛み」に悩む人にこそ試してほしいのが、自分で体を整える「自力整体」です。もちろん、通院による整体や治療によって体が整うことはとても大切です。一方で、その状態を維持するには、日々の生活習慣も大きく関わります。自力整体は、東洋医学をベースに、体をゆるめて老廃物を流し、不調を根本から整えるセルフケアメソッド。いま多くの人が実践しています。
今回は、自力整体指導者・矢上真理恵さんの著書『すっきり自力整体』から、痛みを繰り返さないための「意外なコツ」を抜粋・編集してご紹介します。
監修:矢上 裕(矢上予防医学研究所所長/自力整体考案者/鍼灸師・整体治療家)
構成:依田則子 写真:榊智朗

【整体プロが教える】痛みを繰り返さないための“意外なコツ”。自分で整える2つの習慣とは?

意外と知られていない“痛みの原因”

「翌朝、排便がどっさり出て、ひざの痛みも軽くなりました」
 自力整体の生徒さんたちから、こうした声が多く寄せられています。

 自力整体は、もともと鍼灸院を営んでいた父が、施術後にふたたび痛みをぶり返して来院される患者さんの姿を見て、「日常生活の整え方が重要ではないか」と考えたことから生まれました。
 施術で整った体を維持するために、自分でできる方法として研究・開発されたものです。

 自力整体のベースは、東洋医学の「経絡(けいらく)」の考え方です。
 経絡とは、「気血」の通り道。おもに12本の経絡が全身をめぐり、内臓と体表をつないでいます。

 このため、内臓に疲れがたまると、同じ経絡上の関節や筋肉にコリや痛みが現れることがあります

 たとえば、

 腸に便が溜まりすぎると、ひざに痛みが出やすくなる――
 お酒を飲みすぎた翌日に、股関節まわりに違和感が出る――

 こうした“体のつながり”があると考えられています。

「食べすぎ」「飲みすぎ」が痛みの背景に

 見落とされがちですが、痛みの背景のひとつに「内臓疲労」があります。

 食べすぎ、飲みすぎ、間食、夜遅い食事――。
 こうした習慣が続くと、胃や腸は休む時間が少なくなります。

 すると、体の回復に使われるエネルギーが内臓に優先され、筋肉や関節の回復が追いつかなくなることも。
 その結果として、コリや痛みが長引くケースも見られます。

痛みを繰り返さない「整食法」

 自力整体では、痛みをぶり返すとき、体を動かすだけでなく「食べ方」も整えます。
 それが「整食法」です。

 特別なことではなく、無理なく続けられることがポイントです。

■整食法①~食事は寝る3時間前までに終える

 就寝中は、体を回復させる大切な時間です。
 胃に食べ物が残っていると消化が優先され、回復が後回しになることも。
 なるべく空腹に近い状態で眠ることで、体の修復や排便のリズムが整いやすくなります。
 空腹がつらい場合は、消化にやさしいおかゆなどを少量とる程度に。

■整食法②~朝は固形物を控え、飲み物やスープに

 朝は、腸が排泄に向かう時間帯。
 このタイミングで水分を中心にすると、排便のリズムが整いやすくなります。
 実践すると、朝に複数回排便があることもあり、腸内がすっきりしやすくなります。

 痛みをその場で和らげることも大切ですが、ぶり返しにくい体をつくるには、日々の習慣が欠かせません。

 とくに、「食べ方」を整えることは、通院で整えた体を維持するうえでも役立ちます
 無理のない範囲で、できることから取り入れてみてください。

腸の動きを整える「腸ほぐし」のワーク

 最後に、書籍『すっきり自力整体』から、痛みの一因ともなる「便秘」にアプローチするワークをご紹介します。

 おこなうのは、脇腹から鼠径部へと連動させてゆるめる「腸ほぐし」
 滞りがちな腸の動きを促し、内側から流れを整えていきます。

 腸内環境が整うことで、結果的に体への負担が軽減され、足腰の違和感の緩和にもつながります

 具体的なやり方は、次の画像を参考にしてください(画像は書籍『すっきり自力整体』より)。

【整体プロが教える】痛みを繰り返さないための“意外なコツ”。自分で整える2つの習慣とは?
【整体プロが教える】痛みを繰り返さないための“意外なコツ”。自分で整える2つの習慣とは?

 ◎「腸ほぐし」のワーク

【手順1】
 ◆脚を左右に開き、鼠径部に手を添え、軽くバウンド(数回)

【手順2】
 ◆左脚を後ろへ大きく一歩引き、左の脇腹(下行結腸あたり)に手をあてる

【手順3】
 ◆右脚に重心を移動、左の鼠径部をぐーっと伸ばす

【手順4】
 ◆体を右にひねりながら、左の脇腹を深くマッサージ(しばらくおこなう)

【手順5】
 ◆反対側も同様に(硬い側は長めに)

 今回紹介したのは、ごく一部。
 書籍『すっきり自力整体』では、
 ・5つの老廃物(息・血・水・便・念)の流し方
 ・経絡を使った全身調整
 ・コリ、痛み、不調を自分で整える方法
 を、54分の動画付きでわかりやすく解説しています。
「なんとなく不調」を繰り返さない体をつくりたい方は、一度体系的に試してみてください。

矢上 真理恵(やがみ・まりえ)
矢上予防医学研究所代表取締役
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見て、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』『すぐできる自力整体』(ダイヤモンド社)がある。

自力整体オフィシャルウェブサイト
https://www.jirikiseitai.jp/

監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)
矢上予防医学研究所設立者、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約400名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体』『100歳でも痛くない 痛みが消える自力整体』(ともに新星出版社)など多数。自力整体の書籍は累計32冊、総発行部数は77万部を超える。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。
※自力整体は矢上裕の登録商標です。