現在、セレブの国・モナコ公国の「パレスエリア」(モナコ大公宮殿エリア)唯一の日本人として暮らすエミチカさん。美容ビジネスで成功し、今は若手経営者の育成に力を注いでいますが、40代までは開業医の夫と2人の子どもを支える主婦でした。医師の妻としてお金持ちのコミュニティーに属したものの、本格的にビジネスの世界に乗り出したのは51歳のとき。実は、不慮の事故で夫を失ったのです。エミチカさん自身、「天国と地獄」を経験し、また、周りで失敗していくお金持ちを目の当たりにしてきたと言います。特集『富裕層の「お金の大失敗」』の#2では、エミチカさんが出会った、気鋭の起業家の登場と退場というエピソードを軸にお金の失敗について語ります。(実業家 エミチカ)
院長夫人がやってしまった
典型的な「お金の失敗」
私は大学卒業後、大手商社に就職したものの、祖母が見つけた眼科医の男性とお見合いしました。すぐに結婚し、寿退社しました。ここから「医師の妻」としての人生が始まりました。
クリニックを運営する夫とともに、メディカルサポート法人(医療人材採用育成、事務管理、医療機器を扱う)を立ち上げ、その代表取締役に就任しました。私は元々商家の生まれで、仕事に打ち込む祖母や父を見て育ってきたので違和感なく仕事をし、実務面で夫を支え、経営にも携わっていました。それでも、周囲から見れば「院長の奥様」だったかもしれません。実際、長男と長女を授かって母となった後は、子育てが生きがいとなりました。
ところが、50歳を迎えたある日、夫が急逝しました。パートナーがいてこその事業は、立ち行かなくなり、悲しみに沈む暇もなく、私の両肩には2億円の借金がずっしりとのしかかってきたのです。
付き合いのあった会計士、税理士、銀行の担当者は「医師の妻に事業継続は無理」と事業をたたむようにと言ってきました。
でも、私は新規事業に打って出ました。夫とともに築いた事業を失いたくないという思い、育児の手も離れ、院長の奥様ではない自分を証明したいという思い。二つの思いから、顧客としてサービスを受ける側の経験が豊富だったエステ事業を始めたのです。
ただ、これは振り返ってみると典型的な「お金の失敗」でした。その理由を、四字熟語に表すことができるのですが、わかりますか?
さらに、私と同じような失敗を繰り返す「ニューリッチ」もいます。彼らは、1億円ほどを手に入れたときのお金の使い方が分岐点になっていると感じます。