コロナ明けの海外旅行に落とし穴、今こそ知りたい「旅行保険」の要点と注意点写真はイメージです Photo:PIXTA

マスクの義務化も終わり、徐々にコロナ禍前の生活に戻りつつあります。今年は海外旅行を計画している人も多いのではないでしょうか。とはいえ、コロナに感染するリスクは変わらずあります。渡航する際は、万が一に備えて「海外旅行保険」に加入しておくことを強くおすすめします。渡航先や受けた治療によっては、多額の治療費を請求されるケースもあるからです。海外旅行保険にはどんな補償があるのか、保険料はいくらか、選ぶ際のポイントは何かなど、今だからこそ知っておきたい保険にまつわるアレコレをご紹介します。(社会保険労務士 井戸美枝)

「海外療養費制度」支給額に注意

「海外で支払った治療費は、日本人なら誰でも払い戻しが受けられるのでは?」と思う人もいるかもしれません。

 その通り、海外で支払った治療費は、全額自己負担ではありません。日本に帰国してから申請すると、支払った費用の一部が支給される「海外療養費制度」という制度があります。

 自己負担の割合は、国内で治療を受けた場合と同じ。自己負担が3割の人は、残りの7割が海外療養費として支払われます。

 ただし、注意したい点が2つあります。

<その1>「日本で治療を行った場合の費用」を基に計算される

 一点目は、「日本で治療を行った場合の費用」を基に計算されるということです。日本では「診療報酬」といって、ひとつひとつの医療行為の価格が決められています。この診療報酬を基に、日本で同等の治療を受けた場合の費用を算出し、実際に支払った費用と比較して、少ない方の額の7割が支給されます。

 たとえば、海外で50万円の治療費を支払った場合を考えます。その治療の日本での「診療報酬」が30万円だった場合、自己負担割合が3割の人であれば30万円の7割、21万円が支払われます。よって、最終的な自己負担額は、50万円-21万円=29万円となります。日本と海外の治療費の差額である20万円分はカバーされないのです(次のページで図表で解説します)。