子どもが少し大きくなっても、親の悩みや不安は尽きません。今日もイヤな叱り方をしてしまったと、落ち込むことも……。きれいごとでは進まない子育てでうまく立ち回るために、23年間の小学校教師経験を含む40年超の実績のある教育評論家・親力アドバイザーの親野智可等:著『ずるい子育て』(ダイヤモンド社)に頼ってみませんか。本連載では、多種多様な子どもたちとその保護者に向き合って生まれた「親がラク&子どもが伸びる」一石二鳥のテクニックを紹介していきます。
やっぱり遊びが最強です
「うちの子は遊んでばっかりで」「好きなことしかしない」。
そんな嘆きの声を親御さんからよく聞きます。それに対して私は、「そんな素晴らしいことはないですよ!」と申し上げたいです。
なぜなら、子どもが好きなことに夢中になっているときには、脳の血流が上がり、神経伝達物質がいっぱい放出され、シナプスがつながっていき……と、脳の性能がグングンアップするからです。コンピューターをイメージしてください。CPUが上がると処理能力が増え、多くのことを素早くできるようになりますよね。そのCPUを上げるためにブーストをかけている状態だと思ってください。
親がするべきは子どもの脳のスペックが上がる環境の用意
脳の性能というと遺伝で決まるように思えますが、行動遺伝学では、遺伝と環境の影響は半々といわれています。ですから、親がするべきは子どもの脳のスペックが上がる環境を用意するということです。とはいっても、特別なことをする必要はありません。好きなことを楽しくしていれば、脳の性能は勝手に上がっていくからです。反対に、暴力や虐待を受けると、記憶を司る脳の「海馬」という部分が萎縮することが研究でわかっています。環境によって脳の性能は上がったり落ちたりするわけです。
勉強する必要が出てきたら、言われなくても学ぶ
「さすがに遊んでばかりでは、成績は上がらないでしょう?」と思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、人間というのは、何か好きなことをやっているとそれを深めたくなる生き物です。そしてどんどん深めていくと、算数的なものや読み書き、社会や理科の知識などを勉強する必要性が必ずどこかの時点で出てきます。そうしたら、言われなくても学びます。
楽しいと感じながら夢中になる時間
もうひとつお伝えしたいのは、苦手を克服させることやしつけに主眼を置いていると、子どものエネルギーがそちらに取られてしまって、伸びる方向に向かう余裕がなくなってしまうということ。ですから子どもの地頭をよくしようと思ったら、楽しいと感じながら夢中になる時間を増やしてあげる。これにつきます。
※本稿は『ずるい子育て』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。