子どもが少し大きくなっても、親の悩みや不安は尽きません。今日もイヤな叱り方をしてしまったと、落ち込むことも……。きれいごとでは進まない子育てでうまく立ち回るために、23年間の小学校教師経験を含む40年超の実績のある教育評論家・親力アドバイザーの親野智可等:著『ずるい子育て』(ダイヤモンド社)に頼ってみませんか。本連載では、多種多様な子どもたちとその保護者に向き合って生まれた「親がラク&子どもが伸びる」一石二鳥のテクニックを紹介していきます。

【子育て】疲れた親子に笑顔が戻り、子どもが伸びるずるい方法とは?Photo: Adobe Stock

親がラクになって幸せになることで、子どもが幸せになる

「ずるい子育て」―。
このタイトルにギョッとされた方もいらっしゃるかもしれません。
何も、「よその子を出し抜いて、自分の子だけずるい方法で成績を上げよう」とか、「裏口からいい学校に入れよう」というわけではありませんので、安心してください。

いま、生涯独身で過ごす人が増えています。理由はさまざま考えられますが、結婚しない理由のひとつに、いまの社会で子育てをすることのしんどさが挙げられるのではないかと思います。

ある調査によると、いま子どもをもつ女性の幸福度は著しく下がっているそうです。
「失われた30年」と言われる日本経済の衰退により、収入は増えない。一方で物価は上がり、生活費が重くのしかかる。そのうえ教育費は天井知らず。夫婦共働きは必須で、疲れきって家に帰ると、さらに子どもの世話が待っている。体力もお金も時間も削られ、自分の幸福はどこかに行ってしまう……こんなふうに感じている方が多いのでしょう。
収入も時間もすべて自分のために使える人のほうが幸福度が高いのも、うなずけます。

しかし、この記事を開かれたあなたは、子どものいる生活には、大人だけの生活とは違う幸せや豊かさ、楽しさがあることをご存じだと思います。
本来なら、ほかに比べることのできない、楽しく幸せであるはずの子どものいる生活が、つらく苦しいものと感じられてしまうのは、なんともったいないことでしょう。

この記事は、そんな疲弊しきっている現代の親の皆さんが、ラクになって、本来の子育ての楽しさを味わいながら幸せになってほしいという思いで書きました。
それが結局、子どもの幸せにつながり、ひいては子どもが自分で人生を切り開いていく力を育むことになるからです。
では、どうすればいまよりもっと子育てがラクで楽しいものになり、子どももグングン伸びて親子ともども幸せになれるのでしょうか? 私は、ビジネスにおける「コストパフォーマンス」「タイムパフォーマンス」の考え方を、子育てにも取り入れることが必要だと考えます。つまり、「効率」を大切にするということです。

子育てや教育では、「効率」という言葉は悪者にされてきました。その結果、必要以上にたいへんなものになってしまったのです。いまこそ発想を転換して、親も子もラクで楽しくて最大限の効果が上げられる方法を実践していきましょう。
それが「ずるい子育て」です。

※本稿は『ずるい子育て』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。