この20年で時代は大きく変わったが、今後20年の変化は、その比ではない。思いもよらない変化が次々と起きるこれからの社会では、「たくましさ」、「地頭のよさ」、「社交性」が常に求められるのだ。「世界標準の子育て」では、4000名のグローバル人材を輩出してきた著者が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を紹介していく。

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「小学校入学時」の読書力が勉強への態度を決める

 子育ての悩みの一つにあるのが「文字をいつ教えれば良いか」でしょう。

 その答えは、子どもが小学1年生に上がるまでに「本が読める」ようにしておくことです。

 子どもがストレスなく本が読めるようになるには最低1年かかりますから、逆算すると(遅くても)5歳から文字教育を始めることが大切です。

 小学1年生というのは、子どもが人生で初めて「勉強ができる・できない」という評価を学校の先生たちからされる時であり、自分が「勉強できる・できない」ことを客観的な比較によって知る時です。

「教科書が読める子はいますか?」という先生の質問にパッと手を挙げられる子は、「自分は勉強ができる!」という自信とプライドを持ち、勉強に対して前向きな態度を持つことができます。

 家にいる段階では「自分は勉強ができる」と子どもは思っていませんし、勉強に対する自信も大きくありません。

 ところが小学校に通い始めると「勉強ができるね!」「頭がいいね」と先生や周囲からやたらと褒められるのです。

「本が読めるのはすごいことなんだ!」と、その時に初めて子どもは実感します。

「自分は勉強ができる」という自信を持つと自分から進んで勉強する子になります。「勉強ができる」というプライドがあるので、今さら勉強ができない子になるわけにはいかないのです。だから人一倍がんばるようになります。

 小学1年生までに「本好き」に育てることができれば、「自分は勉強ができる→負けられないからがんばる→もっとできるようになる」という「プラスのスパイラル」に入ることができます。

 反対に、教科書を見ても何が書いてあるのかさっぱりわからない子は、「勉強は苦手だ!」という苦手意識を持つようになるのです。