「大嫌いな上司が会食の席で面白くもない冗談を言うが、死んでも笑ってやらないんだ」と豪語する患者さんに、私はこう伝えました。
「それでは、あなたの人生がもったいない」
「それくらい、笑ってあげたらどうですか。大事なことは、あなた自身の人生において、大して重要でもない人間にエネルギーを奪われていることのほうですよ。嫌いな上司に腹を立ててはムカついて、上司を持ち上げる人たちにも嫌気がさして。そんなことにエネルギーを割くなんて、あなたの人生があまりにももったいないじゃないですか。それはあなたが心から望む人生じゃないはずですよ」
嫌いな上司の冗談に笑ってやるのが簡単じゃないことくらい百も承知です。卑屈な感情をごまかせないことも理解できます。
「大人の生き方」とは?
しかし、ずっと相手のせいばかりにしていても問題はこじれる一方です。たとえ上司に非があったとしても、原因を突き止めるのではなく、問題をどう解決すべきかを考えてみてください。どんなに悔しい目に遭ったとしても、解決していくのは自分なのです。
やりたいこととやりたくないこと、ずっと一緒にいたい人と顔も見たくない人との間で起こるさまざまな出来事を、自分主体で解決し、バランスを取りながら生きていく──。これこそ、真の大人の生き方ではないでしょうか。
(本原稿は『もし私が人生をやり直せたら』から一部抜粋、追加加筆したものです)