巧妙に作られた「ディープフェイク」はかねてソーシャルメディアや選挙、公的部門で懸念を引き起こしている。だが技術の進歩に伴い、これまで以上に本物そっくりの音声や画像が人工知能(AI)で生成されるようになり、ディープフェイクを企業への攻撃に悪用する動きがみられる。「不正目的の電話は常にかかっていた。だがこうした(AI)モデルの能力は今や、誰かが電話で何かを指示する実際の人間の音声パターンを模倣できるまでになり、今までなかった種類のリスクが生じている」。米生命保険会社大手ニューヨーク・ライフ・インシュアランスのビル・キャシディー最高情報責任者(CIO)はこう話す。特に銀行や金融サービス企業は真っ先に標的にされるようだ。「この辺りに非常に急速な動きがある」。KPMGのサイバー担当米国リーダー、カイル・カッペル氏はこう指摘した。
ディープフェイクに狙われる金融業界
顧客の本人確認を写真や音声で行う企業は生成AIの脅威に身構える
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