米連邦準備制度理事会(FRB)が年内に数回利下げするとのウォール街の見通しは、株価を史上最高値圏に押し上げるのに寄与してきた。しかし現在は、FRBが全く利下げしないかもしれないと考える投資家もいる。5日に発表された最新の米雇用統計で景気の足取りが引き続き力強いことを示す内容を受け、年内のFRBによる主要政策金利フェデラルファンド(FF)金利の引き下げが、1回ないし2回にとどまる可能性があるとみるトレーダーが増えている。この利下げ回数は、FRB当局者による直近の予想中央値(0.25ポイントを3回)よりも少ない。また、FRBが現在の水準に金利を据え置くことさえあり得ると考え始めている向きもある。こうした変化は、堅調な株式市場の障害となる可能性がある。この上げ相場の背景にあるのは、5%超という数十年ぶりの高水準にある借り入れコストをFRBが引き下げるには景気減速のペースは十分だが、リセッション(景気後退)に陥るほどではないとの期待感だった。しかし、経済成長とインフレを背景に金利がわずか数カ月前に予想されたよりもはるかに高水準に維持されるとの見通しが市場を動揺させ、ダウ工業株30種平均は週間ベースで2023年3月以来の大幅な下げを記録した。5日の雇用統計を受けて幾分取り戻したものの、週間で2.3%安だった。