膀胱の状態をリアルタイムで追跡
研究グループが開発した、膀胱の外壁に取り付けて使用するインプラントデバイスは、柔らかくて柔軟性があり、電池も必要としない。膀胱の中に尿がたまるにつれ膀胱壁は引き伸ばされ、それとともにこのゴムのようなデバイスも引っ張られる。すると、デバイスに搭載された複数のセンサーがその「ひずみ」を検出し、それにより膀胱内の尿量をモニタリングする。
蓄尿量の情報は、ワイヤレスでスマホのアプリに送信され、これにより、デバイス装着者はリアルタイムで膀胱の状態を追跡することができるという仕組みだ。
論文の共著者で、ノースウェスタン大学生体医工学分野のJohn Rogers氏は、「今回は、とても柔らかくて極薄な上に、伸縮可能なひずみゲージの開発に成功したことが重要な進歩だ。このひずみゲージは、膀胱の外面を優しく包み込み、自然な蓄尿とその排泄動作に機械的な制約を加えることがない」と同大学のニュースリリースの中で述べている。
小動物を用いた実験では、このデバイスを用いて、膀胱の充満と排泄を30日間リアルタイムで追跡することができたという。さらに、ヒト以外の霊長類を使った追跡調査では、このデバイスを使って8週間にわたり膀胱の蓄尿量を追跡することに成功し、ごく少量の尿でもひずみを検出できることが確認できた。
Ameer氏は、「この研究では、本デバイスを人間用にスケールアップして初めて検証した。そして、この技術が長期的に機能し得ることを示した。使用状況に応じてこのデバイスを恒久的に体内に留置し、患者が完全回復した後に無害な形で溶解させることも可能だ」と話す。
研究グループは、このデバイスを、膀胱の再建や必要に応じて排尿を誘発するために使用できる他の新技術と組み合わせたいとの考えを示している。Ameer氏は、「このアプリは、蓄尿量をモニタリングするだけでなく、デバイス使用者に警告を送り、最寄りのトイレの場所を指示することができるようになる。また、将来的には患者がアプリを通じて、オンデマンドで排尿することができるようになるだろう」と述べている。(HealthDay News 2024年3月26日)
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