イランがイスラエルに向けて多数の無人機とミサイルを発射し、中東紛争のエスカレーションとガソリン価格上昇のリスクが浮上したことで、イスラエル政策と再選を巡るジョー・バイデン米大統領の綱渡りが難しさを増している。バイデン氏は数週間にわたり、ガザでの軍事作戦を縮小するようイスラエルへの圧力を強めてきた。大統領選の共和党候補になるとみられるドナルド・トランプ前大統領も、ガザへの攻撃を早期に終了するようイスラエルに求めている。だが、中東紛争を巡る政治情勢はイランによる攻撃で一変した。一部の共和党議員がイランに報復攻撃を行うよう求める一方、バイデン政権は外交を通じた対応を訴えている。バイデン氏の政治状況は複雑さを増している。戦火拡大のリスクにとどまらず、イスラム組織ハマスが態度を硬化させ、イスラエルとの停戦協議を拒否する可能性があるためだ。昨年10月に始まったイスラエルとハマスの戦闘で民間人の犠牲者が増えているにもかかわらず、イスラエルの軍事攻撃を支持し続けていることで、バイデン氏は重要な有権者層の一部で支持が後退している。