振り込め詐欺などの特殊詐欺事件の発生件数は、今なお減ることがありませんが、その被害者の9割近くが65歳以上というのをご存じでしょうか(内閣府・令和五年版高齢社会白書)。高齢化が進む日本において、この先もシニアを狙った犯罪は手を替え品を替え現れることが十分に予想されます。そこで今回は株式会社三菱総合研究所と、リスクマネジメント学が専門の奈良由美子放送大学教授が監修した新刊『シニアが陥る50の危険』(青春出版社刊)から、高齢者が巻き込まれやすい特殊詐欺被害について抜粋して紹介します。
「特殊詐欺」は「一本の電話」から
親族や公共機関の職員等を装い、被害者から金品をだまし取る詐欺のことを「特殊詐欺」といいます。被害者とのやりとりに手紙やハガキが使われることもありますが、最も多く利用されるのは自宅の固定電話です。
特殊詐欺被害者の9割近くは高齢者で、手口で多いのが「オレオレ詐欺」、「還付金詐欺・預貯金詐欺・キャッシュカード詐欺」です。
警察庁によると、2023年上半期の「特殊詐欺」の被害額は前年度より26.8%増えた193億円だったとのこと。特殊詐欺の被害を防ぐために警察や行政が啓発活動を行っていますが、被害にあう人は後を絶ちません。それは手口がどんどん巧妙化しているからです。