元公安捜査官も驚愕!強盗・特殊犯罪集団「巧妙な個人情報収集の手口」と対抗策写真はイメージです Photo:PIXTA

強盗・特殊詐欺グループが
情報収集に注力する背景

 昨年から今年にかけて相次いだ、「ルフィ」らが関与したとみられる広域連続強盗事件は、東京狛江市での強盗殺人事件という凄惨(せいさん)な事件から急展開を見せ、フィリピンに滞在した被疑者らが相次いで検挙された。

 この犯罪グループは、末端の実行者を闇バイトで募集し、自らはフィリピンから末端の人物に指示するという何とも「効率的」な手法をとっていた。

 そもそも、この手法は特殊詐欺で確立されたものと思われ、特殊詐欺においても、掛け子、受け子などの実行者を闇バイトという形で募集し、自らは表に出ない形で指揮し、捜査の手が届きづらいプロセスを作り上げていた。

 しかし、こうした組織作りや犯罪の手法よりも驚かされるのは、彼らの情報収集能力の高さである。

 筆者は、現役時代に特殊詐欺グループのリーダー格の人物と接したことがあるが、彼は海外における資金運用方法や不動産投資などに関して、どうやれば“金”になるのかについていつも真剣に考え、常に関心高く勉強をしていた。

 話ぶりもいわゆる“ヤカラ”のような口調ではなく、非常にスマートで、ある意味、「特殊詐欺というビジネス」に真剣に向き合っているように見えた。彼に言わせれば、起きている間はずっと“どうやれば特殊詐欺が成功するか”を考えているそうだ。

 このように、彼らが犯罪ビジネスに真剣に向き合う中で、いかに効率的に実行できるかと試行錯誤し、そのために注力することになった一つが“情報収集”だ。

 今回の広域強盗事件において、実行者は被害者宅に入った後に迷うことなく金庫に向かっていた。その際、フィリピン刑務所内にいる指示者が、被害者宅の図面を見ながら携帯電話で「右に行け」などと実行者に指示していたとも言われている。

 では、どうやって被害者の情報を収集したのであろうか。

 そこには、ただの情報(Information)を、示唆を含む情報に昇華させたインテリジェンス(Intelligence)にする恐るべきノウハウが隠されていた。