米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は16日、1-3月期のインフレが堅調だったとして、景気悪化の兆しが見られない中での年内利下げに新たな不確実性がもたらされたとの認識を示した。インフレ指標が3カ月連続で予想を上回ったことを受けて、FRBの見通しが明確に変化したことをうかがわせる発言だった。この日の首都ワシントンでの質疑応答で、パウエル氏はインフレがFRB目標の2%に向けて持続的に低下するとの自信について「このところのデータは全くわれわれの自信を強めるものではなかった。それどころか、自信を得られるまでにさらに長くかかる可能性が高いことを示した」と話した。さらに、物価上昇率がFRB目標を上回り続ければ、政策金利を現行の約23年ぶり高水準に据え置く公算が大きいことを示唆した。一方で、インフレが予想を若干上回った場合でも追加利上げに動く可能性は低く、景気が急激に鈍化すれば利下げする用意があることをにじませた。