ANA・JALの「空港ラウンジ」利用特典は価値がさらに高まる!そのワケを専門家が解説羽田空港第2ターミナル国際線「ANA LOUNGE」にあるバーカウンター Photo:ANA

空港ラウンジの新設・改装ラッシュが相次いでいる。近頃はSNSの影響もあって空港ラウンジの魅力が広く知れ渡り、人々のラウンジへの憧れがいっそう増している。他方、常連は、最近のラウンジの混雑や、「改悪」情報は知っておきたいところだ。意外と知らない空港ラウンジの歴史をはじめ、ANA・JALのマイル負債を基に、空港ラウンジは今後どのように変化するか考えてみよう。(空港アナリスト 齊藤成人)

ANAでもJALでもない会社が続々参戦
成田空港で「ラウンジ競争」勃発!

 日本の主要空港の国際線エリアで、ラウンジの新設・改装オープンが相次いでいる(表1参照)。特に注目は成田国際空港で、グランドハンドリング大手のスイスポートジャパン、空港サービス会社のプラザ・プレミアム・グループ、航空機チャーター業務を手掛けるアイ・エー・エス・エスと、エアラインでも空港会社でもない会社が次々とラウンジを開業させた。さながらラウンジ競争だ。

 ラウンジの新設や改装ラッシュは、国内線中心の地方空港にも波及している。一例として、秋田空港のROYALSKY LOUNGEでは地酒や比内地鶏スープ、せんべいを無料サービスしたり、高知空港のラウンジでは「森林が日本一多い県」をアピールするため内装を木目調で統一したりと、空港ラウンジはさながら「地元PRのショーケース」として新たな役目を担うようになった。

 全国で空港ラウンジの新設・改装が重なった理由は、コロナ禍で既存テナントが撤退しスペースが空いたところに、アフターコロナの需要をにらんだ各社がわれ先にと手を付けたからだ。特に、国際線ラウンジはインバウンドの急増もあってニーズが高まっている。空港ラウンジ世界最大手のコリンソングループは、2023年夏のアジア地域の空港ラウンジ利用者数が、コロナ禍前の19年と比べて32%も増加したと発表している(*1)。

SNSでラウンジ内が丸わかりの時代
常連じゃない人の憧れが高まる

 また、近頃はインフルエンサーをはじめ一般旅行者も、ドリンク・フードの充実ぶりなどラウンジ内の様子をSNSに投稿して評価し合っている。この影響もあって空港ラウンジの魅力が広く知れ渡り、人々のラウンジへの憧れがいっそう増している。

 さらに、カード会社のゴールド会員の増加も、ラウンジ需要が増えている要因だ。最近はゴールド会員への入会動機がステータス目的というよりも、ポイント還元率やラウンジ利用など実利目的が多くなっていて、富裕層以外でもゴールドカードをあえて持つ人が増えているようだ(*2)。

 さて、国際線で空港ラウンジを利用するメリットに異論はないだろう。無料でビールやカレー、焼き立てパンなど軽食を楽しめ、シャワールームも完備。長時間フライトの前に使わない手はない。一方、国内線のラウンジとなると、利用する必要性はあるのだろうか? その答えは、年末年始の帰省、特に子連れこそ利用する価値が十分にあるといえる。

 他方、これまでラウンジを使ってきた人は、最近のラウンジの混雑や、「改悪」情報は知っておきたいところだ。意外と知らない空港ラウンジの歴史をはじめ、ANA・JALのマイル負債を基に、空港ラウンジは今後どのように変化するか考えてみよう。

(*1) Collison group「Collinson increases airport lounges and travel experiences in Asia Pacific to cater to strong travel growth」2023年8月25日
(*2) NTTドコモ,「全世代のゴールドカード保有・利用に関する調査」2023年11月21日