いま人類は、AI革命、パンデミック、戦争など、すさまじい変化を目の当たりにしている。現代人は難問を乗り越えて繁栄を続けられるのか、それとも解決不可能な破綻に落ち込んでしまうのか。そんな変化の激しいいま、「世界を大局的な視点でとらえる」ためにぜひ読みたい世界的ベストセラーが上陸した。17か国で続々刊行中の『早回し全歴史──宇宙誕生から今の世界まで一気にわかる』(デイヴィッド・ベイカー著、御立英史訳)だ。「ビッグバンから現在まで」の138億年と、さらには「現在から宇宙消滅まで」に起こることを一気に紐解く、驚くべき1冊だ。本稿では、未来を明かす衝撃的な仮説について述べた一節を本書より特別に公開する。
地球はどう終わるのか?
30億年後には、太陽はますます膨張し、地球の表面を沸騰させ、乾燥させる。地表の温度が100℃を超えたら、地球上の生命はほぼ死に絶える。
もしかしたら、地表のどこかの割れ目に単細胞生物が生き残っているかもしれないが、明らかにこの世の複雑さは減少し、生物圏の物語は終わりを告げる。
その後、太陽は地球を飲み込むほど大きくなり、残されていたものすべてを燃やし、吸収してしまうだろう。地球という星そのものが破壊されるのだ。太陽は火星を破壊するまで肥大化するかもしれない。しかし、それ以上は大きくならず、小惑星帯とガス巨星はほぼそのまま残る。その後、太陽は縮小し、やがて消滅する。
人間は神のようになっているかもしれない
もし、これほどの年月を経ても人類の子孫がまだ生きているとすれば、彼らはテクノロジーを信じられないほど進歩させ、神のような存在になっていることだろう。地球を離れて、木星や土星の衛星をテラフォーム(天体の環境を地球のように改変すること)しているかもしれない。
あるいは、太陽に水素を補充するマクロ・エンジニアリングを完成させて、太陽を燃やしつづけているかもしれない。太陽系を離れて別の惑星に拠点を移しているかもしれない。銀河系を離れているかもしれないし、そもそも星の上に住まなくても生きていける存在に進化しているかもしれない。
(本稿は、デイヴィッド・ベイカー著『早回し全歴史──宇宙誕生から今の世界まで一気にわかる』からの抜粋です)