Rucci氏らは今回、まばたきの働きをより詳しく調べるために、さまざまな種類の刺激を見ている人の目の動きを、高解像度のアイトラッキング技術により追跡した。その後、得られたデータを、まばたきにより生じる瞬時の変化のモデリングと視覚入力情報のスペクトル解析と組み合わせ、まばたきの影響を分析した。

 その結果、まばたきは、視野内の「ゆっくりと変化する大きなパターン」を追跡する能力を高めることが明らかになった。具体的には、まばたきをすることで網膜への刺激が増加し、その結果、まばたきによって一時的に視界が遮られるにもかかわらず、可視性が大幅に向上することが示されたのだ。

目を開けたままでいる場合と
異なるタイプの視覚信号

 この結果について研究グループは、「まばたきは、目の網膜を刺激する光のパターンを変化させることによって、このようなパターンを追跡する能力を高めている。つまり、まばたきは目を開けたままでいる場合とは異なるタイプの視覚信号を作り出しているということだ」と説明している。

 論文の筆頭著者であるロチェスター大学のBin Yang氏は、「一般的な仮説に反して、まばたきは視覚情報の処理を中断させるどころかむしろ向上させ、刺激にさらされることの損失を十分に補っている」と語った。

 研究グループは、この研究結果について、「他の感覚について得られている科学的知見と同様の知見を視覚にもたらす結果」との見方を示している。例えば、人がにおいをかいだり、何かに触れたりするときに起こる体の動きは、脳が周囲の空間を理解するのに役立つ。

 Rucci氏は、「まばたきもまた、見ているものの『全体像』を把握するのに役立つ動きの一つなのだ」と説明する。Rucci氏はさらに、「網膜上の画像には空間情報が明示されているため、視覚認識は他の感覚とは異なると考えられていた。

 しかし、われわれが得た結果は、この見解は不完全であり、視覚は一般に考えられている以上に聴覚や触覚などの他の感覚モダリティに似ていることを示唆している」と述べている。(HealthDay News 2024年4月16日)

https://www.healthday.com/health-news/eye-care/blinking-its-about-more-than-moistening-the-eye

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