変化が激しく先行き不透明の時代には、私たち一人ひとりの働き方にもバージョンアップが求められる。必要なのは、答えのない時代に素早く成果を出す仕事のやり方。それがアジャイル仕事術である。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社)は、経営共創基盤グループ会長 冨山和彦氏、『地頭力を鍛える』著者 細谷 功氏の2人がW推薦する注目の書。著者は、経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)でIGPIシンガポール取締役CEOを務める坂田幸樹氏。業界という壁がこわれ、ルーチン業務が減り、プロジェクト単位の仕事が圧倒的に増えていくこれからの時代。組織に依存するのではなく、私たち一人ひとりが自立(自律)した真のプロフェッショナルになることが求められる。本連載の特別編として書下ろしの記事をお届けする。
仕事が速い人は、個別の作業スピードが速いわけではない
皆さんの周りには「仕事が速い人」はいるでしょうか。どんなに忙しい時でも効率的にタスクをこなし期限を守る姿は、多くの人が目標とするものです。
よく勘違いされることがありますが、そのような人たちは、個別の作業スピードがただ速いわけではありません。では、仕事が速い人にはどのような特徴があるのでしょうか。
効率的な作業の分解
仕事を迅速に進める人たちは、仕事と作業を明確に分けることを徹底しています。彼らは大きなタスクを具体的な作業に分割して取り組むことで、非効率を排除します。
プレゼン資料を作成する場面で考えてみましょう。仕事が遅い人はいきなりパワーポイントを立ち上げてスライド作成に取り掛かります。一方で仕事が速い人は、まずプレゼンの目的を明確にした上でアウトラインを作成し、必要な情報を集めてからはじめてパワーポイントを立ち上げ、スライドを作成します。
このように仕事を細かく分解することで、突然の方針変更や予期せぬ状況にも柔軟に対応できるようになります。たとえば、プレゼンの主旨が変わっても、既に整理された情報や作成されたアウトラインを基に、迅速に調整を加えることが可能です。このアプローチにより、効率的で柔軟な作業が実現し、スムーズなタスク達成へと繋がります。
また、具体的な作業に分解されていれば、他のメンバーに作業を依頼して助けてもらうことも容易になります。
アジャイル仕事術の導入
仕事の効率を向上させるには、アジャイル仕事術の活用が有効です。この手法では、柔軟性と速さを重視し、プロジェクトの各フェーズで継続的なフィードバックと改善を行います。短いサイクルでの評価と調整を通じて、プロセス全体の質を徐々に高めるだけでなく、小さく分割した作業単位で優先順位を適切に設定できれば、時間というリソースを効率的に管理することが可能になります。
特に変化が激しい現代のビジネス環境においては、日々の業務にこの考え方を取り入れることで、仕事の効率を大幅に改善することができるでしょう。
株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)、IGPIシンガポール取締役CEO
早稲田大学政治経済学部卒、IEビジネススクール経営学修士(MBA)
大学卒業後、キャップジェミニ・アーンスト&ヤングに入社。その後、日本コカ・コーラ、リヴァンプなどを経て、経営共創基盤(IGPI)に入社。現在はシンガポールを拠点として日本企業や現地企業、政府機関向けのプロジェクトに従事。細谷功氏との共著書に『構想力が劇的に高まる アーキテクト思考』(ダイヤモンド社)がある。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社)が初の単著。